
せっかく転職に成功しても、新しい職場に馴染めずに短期離職してしまう——発達障害のある方の中には、こうした経験を持つ方が少なくありません。実際、入社後3ヶ月は最も離職リスクが高い時期と言われます。
僕自身、ADHDと診断されたエンジニアで転職を5回経験しましたが、そのうち2社は「入社してみたら想定と違う」とダメージを受けて3ヶ月以内に辞めています。逆に現職では「事前準備を丁寧に」「最初は期待値を下げる」「体調を優先する」を徹底して、入社から1年以上安定して働けています。
この記事では、僕自身の失敗と成功両方の経験から、転職後の定着を成功させるための具体的な方法をお伝えします。転職活動の進め方については発達障害の転職で失敗しない7つのポイントも参考にしてください。
厚生労働省「令和5年障害者雇用実態調査」によると、障害者雇用された方の定着率は業種・企業規模によって大きく異なりますが、「入社後1ヶ月、そして3ヶ月」が離職が集中しやすいタイミングとされています(出典: 厚生労働省 障害者雇用実態調査)。逆に3ヶ月を乗り越えると、定着率が大幅に上がる傾向があります。
僕が2社目を辞めたときは「人間関係」と「期待と現実のギャップ」の2つが複合してパンクしました。「これだけの仕事はできる」と思っていたのに、実際には背景の調整やコミュニケーションが多すぎて、業務に集中できる時間が1日1時間もないギャップに耐えられませんでした。転職後の「想定と違う」は、複数要因が重なって起きやすいんだと実感しました。
理想的なスケジュール
僕は現職の入社前3週間から、「床から出たら1時間以内にコードを書き始める」ルールで生活を動かしていました。フルリモートだからこそ、生活リズムを事前に調整しておかないと初日から遅刻もしかねません。
確認ポイント:
フルリモート勤務の方は、「オンライン会議ツール(Zoom/Google Meet/Slack huddle)の事前テスト」「会社支給PCの初期設定を初日の不安要素にしないよう、事前に人事とスケジュールを詰める」を推奨します。
現実的な期待値設定:
現職の入社初日、上司に「最初の1ヶ月は想定と違う可能性もあるので、慎重に進めたいです」と先に伝えました。逆に上司が「それで十分です」と言ってくれて、精神的な負担がだいぶ軽くなりました。
やるべきこと
避けるべきこと
僕が4社目に入社したとき、初週で「全てを把握しよう」とメモを取りまくって2週目でパンクしました。現職では「初週は人名とツールだけ覚える」と割り切り、業務はスロースタートしたのでメンタルが安定していました。
ADHDの方向け:
ASDの方向け:
雑談が苦手な方は職場での雑談サバイバル術も参考になります。
朝の持ち物確認、退勤前のデスク整理、翌日の準備、スケジュール確認のチェックリストを作りましょう。
変更管理シートの例
変更内容 | いつから | 影響 | 対応方法 |
|---|---|---|---|
席替え | 来週 | 環境変化 | 事前に下見 |
対処法:
相談例: 「複数の業務を同時に覚えるのが苦手なので、まずは○○業務を完璧にマスターしてから、次の業務に進ませていただけませんか」
対処法:
対処法:
僕は現職の最初の3ヶ月を「完全に定時で上がるモード」にしました。上司にも事前に「最初は準備期間として使いたい」と伝えて、余裕を作りました。「うまくやる」より「長期的に続ける」という視点で動くと、ヘコたれたときのダメージが軽くなります。
合理的配慮の詳細な求め方については職場での合理的配慮の求め方完全ガイドも参考にしてください。
タイミング: 定期面談や1on1で
伝え方例: 「1ヶ月働いてみて、○○の場面で△△という配慮をいただけると、より効率的に業務ができることが分かりました。可能でしょうか?」
良い例: 「○○の作業について、手順を確認させてください。私の理解では、①△△、②□□、③××という流れで合っていますか?」
避けたい例: 「全然分かりません」
報告: 結論から話す、数字を使う、簡潔に
連絡: メールでも残す、重要度を明示、期限を確認
相談: 具体的に困っていることを伝える、自分なりの案も用意、相談のタイミングを聞く
参考までに、僕自身が転職した5社で「どの要因が3ヶ月定着を左右したか」を振り返ります。
転職 | 3ヶ月後の状態 | 鍵となった要因 |
|---|---|---|
1社目(非IT) | 「何とか続けている」レベル | 同期との関係が良かった |
2社目(非IT) | バーンアウトで1ヶ月で休職 | 期待値を下げる余裕がなかった |
3社目(IT未経験) | 初めて「やりがいを感じる」レベル | チームリーダーがミスを拾ってくれた |
4社目(初フルリモート) | 生産性が上がる、ストレス減 | 通勤ゼロと非同期コミュニケーション |
5社目(現職) | 3ヶ月でキャッチアップし「拡張タスク」を任せられる | ADHDオープン+期待値下げ+体調優先 |
振り返って思うのは、「3ヶ月定着」は「仕事で成果を出す」よりも「ストレスをコントロールする」が本質だということ。仕事は4ヶ月目以降でも挽回できます。でも3ヶ月でメンタルを崩すと、挽回する間もなく辞めることになります。
「逃げ道を作っておく」は特に重要です。僕は入社と同時に「もしダメそうなら主治医・転職エージェントと連絡を取る」と事前に決めていました。「ダメそうならいつでも逃げる」と思えるだけで、普段以上に踏ん張れるものです。
職場での直接支援、企業との調整、定期的なフォローを受けられます。ハローワークや地域障害者職業センターから紹介を受けられます。
転職後の3ヶ月は確かに大変です。でも、この期間を乗り越えたとき、あなたは必ず成長しています。
大切なのは:
僕も何度も「辞めたい」と思いつつ、今では「あの時に乗り切ってよかった」と思える職場にたどり着いています。今は大変でも、必ず道は開けます。応援しています。
転職活動中のメンタルケアについては発達障害者の転職活動メンタルケア、職場でのストレス管理については発達障害者のための職場ストレス管理術も参考にしてください。
入社後の定着に不安がある方は、定着支援も行っている転職エージェントを活用しましょう。
転職前から登録しておくと、入社後も相談できる窓口があって安心です。
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収800万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。
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