発達障害エンジニアのリアルな1日|フルリモートワークの実態と工夫

「フルリモートエンジニアって、実際どんな生活してるの?」
パジャマで仕事? 好きな時間に起きる? 1日中パソコンに向かってる? いえいえ、実態はもっと面白くて、そして発達障害の特性に合わせた工夫がたくさんあります。
この記事では、実際にフルリモートで働く発達障害エンジニアたちの「リアルな1日」を時系列で追いながら、生産性を最大化する工夫をお見せします。
Case1: ADHD × フロントエンドエンジニア(30代男性)
フロントエンドエンジニア = ウェブサイトの見た目や動きを作る技術者
朝:エネルギー満タンの黄金時間
6:30 起床
└─ 目覚ましは光目覚まし時計
└─ スマホは別室に置いて、朝一のSNS沼を回避
7:00 朝のルーティン
├─ シャワー(必ず浴びる、脳を覚醒)
├─ コーヒーを淹れる(儀式的な意味)
└─ 作業着に着替える(パジャマNG)
7:30 朝活タイム
└─ 会社の仕事ではなく個人の勉強
└─ 新しい技術の実験場
└─ 「朝の脳」は創造的なことに使う
本人のコメント: 「朝の2時間は、夜の5時間に匹敵する。ADHDの過集中を朝に持ってくるのがコツ」
午前:本業スタート
9:00 始業
├─ チャットで「おはようございます」
├─ 今日のタスクを3つだけ選ぶ
└─ ポモドーロタイマーセット(25分)
9:30-12:00 プログラミングタイム
├─ 通知は全てOFF
├─ オンラインで仲間と無言作業(集中力UP)
├─ 好きなBGM(ゲーム音楽)
└─ 立ちデスクで作業
工夫ポイント: 今日やることリストは必ず3つに絞る!
- ウェブサイトのヘッダー部分を作る
- データベースとの接続部分を実装
- 同僚のコードをチェック
これ以上増やすと集中力が散ってしまうので、欲張らないのがポイント。
昼:戦略的な休憩
12:00-13:00 昼休憩
├─ 必ず席を離れる
├─ 散歩 or 筋トレ(ドーパミン補給)
├─ 昼食は軽め(午後の集中力のため)
└─ 15分の仮眠
午後:セカンドウィンド
13:00-15:00 ミーティングタイム
├─ この時間帯に集約
├─ カメラONでも疲れない時間
└─ 議事録は自動文字起こしツール使用
15:00-17:00 レビュー&ドキュメント
├─ 同僚の作業内容をチェック
├─ 作業マニュアルの更新
└─ 明日の準備
夜:過集中タイム(週2-3回)
20:00-22:00 夜の開発時間
├─ 個人プロジェクト
├─ 技術ブログ執筆
├─ オープンソース活動
使用ツール:
- ポモドーロ:Be Focused Pro(25分作業・5分休憩のタイマー)
- タスク管理:Notion(やることリスト管理)
- 時間計測:Toggl Track(作業時間の記録)
- 集中用BGM:Brain.fm(集中力を高める音楽)
Case2: ASD × バックエンド寄りフルスタック(40代女性)
バックエンド = システムの裏側の仕組みを作る技術者 フルスタック = 表側も裏側も両方できる技術者
朝:完璧なルーティン
7:00 起床(365日同じ時間)
├─ 体温測定・記録
├─ 朝食(毎日同じメニュー)
└─ ニュースチェック(15分厳守)
8:00 環境準備
├─ デスクの配置確認
├─ 室温23度に調整
├─ ノイズキャンセリングヘッドホン準備
└─ 必要な飲み物を全て用意
午前:深い集中
9:00 始業
├─ メールチェック(10分以内)
├─ 本日のスケジュール確認
└─ チャットのステータスを「集中中」に
9:30-12:00 開発時間
├─ 最も難しいタスクから着手
├─ 1つのことに完全集中
├─ 中断されない時間を死守
└─ プログラムの品質にこだわる
コーディング環境の工夫:
- エディタ(プログラムを書くソフト)の設定を完璧に整理
- 保存時に自動でコードを整形
- 見やすいフォントサイズ(16px)
- 目に優しい暗めのテーマカラー
- 一定の文字数で改行する目印を表示
昼:計画的なリチャージ
12:00-13:00 昼休憩
├─ 一人で静かに食事
├─ 決まった場所で休憩
├─ 音楽や読書で気分転換
└─ 人との交流は最小限に
午後:コミュニケーションタイム
13:00-14:00 チームミーティング
├─ 議題を事前に確認
├─ 発言内容をメモで準備
└─ 画面共有で説明
14:00-17:00 コードレビュー&改善
├─ 他人のプログラムを詳細にチェック
├─ コードの整理整頓(リファクタリング)
├─ テストプログラムの充実
└─ マニュアル整備
本人のコメント: 「ルーティンを崩さないことが、高いパフォーマンスの秘訣。予定外のことが起きても、基本の流れは死守する」
Case3: ADHD×ASD × フロントエンドエンジニア(20代非バイナリー)
変則的だけど計画的な1日
10:00 起床(夜型人間)
├─ 起きる時間は遅いが毎日一定
├─ 朝食はプロテイン(準備が楽)
└─ Todoistで今日のタスク確認
11:00-13:00 午前の開発
├─ 最もクリエイティブな時間
├─ 新機能の実装
├─ 画面デザインの改善
└─ フロー状態を大切に
13:00-14:00 昼食&リフレッシュ
├─ 料理は作らない(時間の無駄)
├─ 宅配 or 冷凍食品
└─ YouTubeで技術動画視聴
午後から夜:長時間集中
14:00-18:00 本格開発タイム
├─ イヤホンで完全遮断
├─ ひたすらプログラミング
├─ 休憩はフィジェットスピナー
└─ 水分補給アラーム設定
19:00-20:00 夕食休憩
20:00-23:00 ナイトセッション
├─ バグ(プログラムの不具合)修正
├─ 処理速度の改善
├─ 明日の準備
└─ 技術記事を読む
特徴的な工夫:
- 朝型にこだわらない
- 自分のリズムを大切に
- 家事は最小限に自動化
- 集中時間を最大化
共通する成功パターン
1. 環境の最適化
物理環境
- デスク:高さ調整できる昇降式がおすすめ
- 椅子:長時間座っても疲れないもの
- モニター:2枚以上あると作業効率UP
- 照明:明るさを調整できるもの
- 室温:自分で調整可能な環境
デジタル環境
- 通知:必要最小限に制限
- ツール:できる限り自動化
- BGM:集中用の音楽プレイリスト
- アプリ:時間管理ツールは必須
2. 時間管理の工夫
ADHD向け:短時間集中方式
1時間を細かく区切って作業する
- 9:00-10:00:機能の実装
- 10:00-10:30:作業内容の記録
- 10:30-11:00:同僚のコードチェック ※30分以上の枠は作らないのがコツ
ASD向け:固定スケジュール方式
毎日同じ時間に同じ作業をする
- プログラミング:9:00-12:00(毎日同じ)
- ミーティング:13:00-14:00(毎日同じ)
- レビュー作業:14:00-17:00(毎日同じ)
3. コミュニケーションの最適化
非同期コミュニケーション重視
- チャットは即返信しなくてOKの文化
- ドキュメント(文書)中心のやりとり
- 録画での情報共有
ミーティング対策
改善前:週10回のランダムな会議 改善後:週3回の固定会議 + それ以外はチャットで解決
よくある課題と解決策
課題1: 働きすぎてしまう
解決策:
- 1日8時間で強制的に作業を終了
- タイマーをセットして、時間になったらパソコンを閉じる
- 「今日はここまで」というルールを決める
課題2: 孤独感
解決策:
- オンラインもくもく会(みんなで無言作業)
- 作業通話でゆるくつながる
- 週1回は外出する機会を作る
課題3: 運動不足
解決策:
- スタンディングデスクで立ち作業
- 25分ごとに軽い運動
- 散歩しながらの電話会議
生産性を測る指標
数値で測れる指標
- 1日の作業完了数:平均3-5個
- 週のプロジェクト進捗:3-5本
- バグ修正:発見から修正まで平均2時間
- コードレビュー:週10件以上
感覚で測る指標
- 集中できた時間の長さ
- ストレスレベルの低さ
- 達成感の大きさ
- 新しく学んだことの量
ツールボックス:発達障害エンジニア必須アイテム
時間管理
- Toggl Track: 作業時間を記録
- Forest: スマホを触らないようにする
- Be Focused: 25分作業・5分休憩のタイマー
タスク管理
- Notion: プロジェクト全体の管理
- Todoist: 日々のやることリスト
- GitHub Projects: 開発タスクの管理
集中サポート
- Brain.fm: 集中力を高める音楽
- Noisli: リラックスできる環境音
- Freedom: 気が散るサイトをブロック
コミュニケーション
- Loom: 画面録画で説明
- Miro: 図で視覚的に共有
- Calendly: 会議の日程調整を自動化
1日の終わりに
振り返りの重要性(5分でOK)
今日できたこと
- ✅ ウェブサイトのヘッダー部分完成
- ✅ バグを3つ修正
- ✅ マニュアルを更新
良かったこと
- 午前中の集中力が最高だった
- 新しい技術を試せた
明日やること
- テストプログラムを書く
- 処理速度の改善に着手
まとめ:自分だけの最適な1日を作る
フルリモートエンジニアの1日は、人それぞれ。大切なのは:
- 自分の特性を理解する
- 環境を最適化する
- ルーティンを作る(でも柔軟に)
- 生産性を見える化する
- 継続的に改善する
「普通」の働き方に合わせる必要はありません。 あなたの特性に合った、あなただけの最高の1日を作りましょう。
ご注意
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。