「就職してもすぐ辞めてしまう」「発達障害の特性に合った働き方を、誰かと一緒に整理したい」
そう感じて就労移行支援を調べはじめると、よく名前が出てくるのがatGPジョブトレの発達障害コースです。でも実際のところ評判はどうなのか、料金はかかるのか、就職率や定着率の数字は信用していいのか。気になる点は多いと思います。
僕はADHDと診断されたフロントエンドエンジニアで、今は地方からフルリモートで働いています。atGPジョブトレ自体を利用したわけではありません。だからこの記事では、僕の偽の体験談ではなく、公式の公表データと、ネット上に実在する利用者の口コミを出典付きで集めて、当事者の目線で「ここは良さそう」「ここは注意」と冷静に仕分けしていきます。
この記事を読むと、atGPジョブトレ発達障害コースの良い評判・悪い評判、料金の仕組み、就職率や定着率という数字の中身、そして「自分に向いているのか・合わないのか」の判断材料がわかります。
最初に、ここでつまずく人がとても多いポイントを整理します。
「atGP」という名前のサービスは、実は性格が違うものが2つあります。混同するとサービス選びを間違えるので、先に分けておきます。
サービス名 | 種類 | 何をするところか |
|---|---|---|
atGP(アットジーピー) | 障害者向け転職エージェント | すでに働ける状態の人に求人を紹介する |
atGPジョブトレ | 就労移行支援(福祉サービス) | 働く準備・スキル習得・定着まで訓練する |
どちらも運営は株式会社ゼネラルパートナーズですが、この記事で扱うのは後者のatGPジョブトレ、しかもその中の発達障害コースです(出典:atGPジョブトレ公式)。
就労移行支援というのは、一般企業への就職を目指す障害のある方が、通所しながら働く準備をするための福祉サービスです。原則2年間まで利用でき、ビジネスマナーやPCスキル、コミュニケーションの練習などを、生活リズムを整えながら進めていきます。
atGPジョブトレが他の就労移行支援と大きく違うのは、「障害別コース制」を採用している点です。発達障害コースのほかに、うつ症状コース、統合失調症コース、聴覚障害コース、難病コースが用意されています(出典:atGPジョブトレ公式)。
発達障害コースの対象は、自閉スペクトラム症(ASD/対人関係やこだわりに特性がある状態)、注意欠如・多動症(ADHD/不注意や多動・衝動性に特性がある状態)、学習障害(LD)のある方です。同じような特性で悩んできた人だけが集まる場で訓練できる、というのがこのコース最大の特徴です。
発達障害は生まれつきの脳の特性で、本人の努力不足や甘えではありません。診断は医師だけが行えます。この記事の特性の説明は、サービスを理解するための一般的な補足です。
調べていると「リンクビー(LinkBe)」という名前を見かけることがあります。これは発達障害コースの旧名称で、現在はatGPジョブトレ発達障害コースに統合されています(出典:atGPジョブトレ公式)。古い口コミ記事では旧名で書かれていることがあるので、頭の片隅に置いておくと混乱しません。
就労移行支援そのものの仕組みをもう少し知りたい方は、就労移行支援とは?発達障害者が利用するメリットとおすすめ事業所の選び方も合わせて読んでみてください。制度の全体像がつかめると、atGPジョブトレの位置づけも見えてきます。
ここで少し、当事者として伝えたいことがあります。
転職を繰り返したり、就職してもすぐ続かなかったりすると、「自分は社会人として欠陥があるのかもしれない」と落ち込みますよね。僕も以前はそうでした。けれど、続かなかった原因の多くは、人格ではなく「特性と環境のミスマッチ」だったりします。
発達障害のある方の職場定着率は、一般に1年後で約7割前後とされ、特性に合わない環境では離職につながりやすいことが指摘されています。だからこそ、いきなり転職活動に突っ込む前に、「自分の特性」と「合う環境」を言葉にして整理する時間を取ることに意味があります。就労移行支援は、まさにそのための場です。
「一人で抱え込まず、専門の支援を使ってみたい」と感じるなら、発達障害"専門"のコースを持つatGPジョブトレは、最初に見学を検討する価値があります。見学・相談は無料で、申し込んだら必ず通わないといけないわけでもありません。
無理に決断する必要はありません。まずは雰囲気を見て、「ここなら通えそうか」を確かめるくらいの気持ちで大丈夫です。
ここからが本題です。ネット上に実在する口コミと公式データから、評価されているポイントを見ていきます。
発達障害コースの口コミで繰り返し出てくるのが、「同じ悩みを持つ仲間と取り組める」という声です。
「発達障害の同じ悩みを持つ仲間と取り組める点が強み。客観的に自分を見られるようになった」(30代男性利用者の声として紹介) (出典:就労三銃士の作戦会議)
これは障害別コース制ならではの良さだと思います。自分の感覚は生まれたときからのものなので、人との違いに自分では気づきにくい。でも、似た特性の人と話すと「あ、自分も同じだ」「そういう対処法があるのか」と発見がある。この"気づき"は一人で本を読んでいても得にくいものです。
もう一つ評価が高いのが、実際の職場を想定した模擬トレーニングです。
「報連相ができなかったが、模擬職場で実践し、今役立っている。悩みに時間をかけて向き合ってもらえたのが嬉しかった」(20代女性利用者の声として紹介) (出典:就労三銃士の作戦会議)
報連相(報告・連絡・相談)が苦手というのは、発達障害のある方が職場でつまずきやすい代表的なポイントです。それを座学だけでなく、グループワークや模擬職場で繰り返し練習できる。失敗しても怒られない安全な場で訓練できるのは、本番の職場では得られない経験です。
公式によれば、カリキュラムの約6割が「職場で力を発揮できるようになるための実践的なトレーニング」に充てられています(出典:atGPジョブトレ公式)。プログラムには、障害特性と配慮の理解、タスク管理・時間管理、感覚過敏・鈍麻への対策、適職発見、ビジネスコミュニケーション研修、PC研修、企業での実習(インターン)などが含まれます。
口コミだけでなく、公表されている数字も確認しておきましょう。ここは時点とソースを区別して正確に見るのが大事です。
指標 | 数値 | 時点・対象 | 出典 |
|---|---|---|---|
全体の就職率 | 97% | 2023年4月〜2024年3月 | |
事務職での就職率 | 94.5% | 2019年9月〜2020年8月 | |
全体の職場定着率 | 93% | 2023年就職者の半年後 | |
大手町事業所の半年定着率 | 91.4% | 2019年度・発達障害/聴覚コース併設の事業所実績 |
公式が公表している全体の職場定着率は93%(2023年就職者の半年後)です。また、大手町事業所(発達障害コースと聴覚障害コースを併設)の半年定着率は91.4%(2019年度実績)と紹介されていますが、これは発達障害コース単体の数値ではない点に注意してください。発達障害のある方の1年定着率が一般に約7割とされるなかで、いずれも高めの水準です。
ただし注意したいのは、就職率と定着率は対象期間がそれぞれ違うこと、そして「事務職就職率94.5%」は2019〜2020年のデータだということです。数字は強い武器ですが、見学のときに「最新の実績はどうですか」と直接聞いて、自分で確かめるのが安全です。
ここまで読んで、「自分にも合うかもしれない」と思った節はありませんか。次は、あえて悪い評判のほうを正直に見ていきます。
検索すると「atGPジョブトレ やばい」「最悪」といったキーワードが出てきます。気になりますよね。中身を確認すると、過度に不安になる必要はないものの、知っておくべき注意点はいくつかありました。中立に見ていきます。
発達障害コースの拠点は、秋葉原第2・大手町・横浜(首都圏)、名古屋、梅田(関西)のみです(出典:atGPジョブトレ公式)。就労移行支援は基本的に通所が前提なので、近くに拠点がない地域に住んでいる人は、そもそも利用が難しい。
実際、「アクセスに時間がかかり、通所に苦労した」という口コミも見られます(出典:心の学び手帖)。LITALICOワークスやウェルビーのような全国展開の大手と比べると、対応エリアは限られます。地方在住の方には、ここが一番のハードルになりがちです。
通所には毎日の交通費がかかりますが、atGPジョブトレでは交通費や昼食代の助成は基本的にありません(出典:就労三銃士の作戦会議)。自治体によっては交通費の補助制度がある場合もあるので、お住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。経済的に余裕がないと、通所コスト自体が負担になることは正直あります。
これは就労移行支援全般に言えることですが、スタッフの当たり外れを指摘する声もありました。
「スタッフの約半数は業界未経験の方で、利用者への態度などで不安になる場面があった」 (出典:theories(就労移行支援比較メディア))
これはどの事業所でも起こりうることで、atGPジョブトレに限った話ではありません。だからこそ、見学のときに「実際に支援してくれる担当者と話せるか」「相性が良さそうか」を自分の目で確かめることが、後悔しない一番の方法です。パンフレットの数字よりも、現場の空気のほうが正直だったりします。
なお、他のサービスと横並びで比較したい方は、発達障害者向け就労支援サービス徹底比較|あなたに合った支援の選び方で複数の事業所を整理しています。atGPジョブトレ以外も含めて検討したい方は参考になるはずです。
「就労移行支援って、お金かかるの?」というのは多くの人が気にする点です。結論から言うと、利用者の9割以上が自己負担0円で通っています。
これはatGPジョブトレが特別に安いわけではなく、就労移行支援が国の福祉サービスだからです。利用料は前年の世帯所得に応じて、国の基準で決まります。
区分(世帯所得の目安) | 月額の自己負担上限 |
|---|---|
生活保護世帯 | 0円 |
市町村民税非課税世帯(低所得) | 0円 |
一般1(年収約600万円以下が目安) | 9,300円 |
一般2(上記を超える) | 37,200円 |
(出典:theories。区分は厚生労働省の障害福祉サービス利用者負担の基準に準拠)
ポイントは、上限額が世帯収入で決まることと、多くの利用者が非課税世帯または低所得区分に該当して0円になる、という点です。退職して収入が下がっている方なら、0円になるケースが多いと考えてよいでしょう。
ただし、前述のとおり交通費・昼食代は自己負担です。「利用料は0円でも、通うためのお金はかかる」ことは現実として押さえておきましょう。正確な自己負担額は、お住まいの自治体の窓口で確認できます。
ここまでの評判・データを踏まえて、当事者目線で「向き・不向き」を整理します。
「合わないかも」に当てはまった人も、落ち込む必要はありません。発達障害の特性に理解のある支援サービスは、atGPジョブトレ以外にもあります。次の章で、タイプ別に提携の選択肢を並べて比較します。
「発達障害専門でじっくり準備したい」ならatGPジョブトレが軸になりますが、目的によっては別のサービスのほうが合うこともあります。無理に1社に絞らず、まずは見学・相談で比べてみるのがおすすめです。どれも相談は無料です。
サービス | タイプ | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
発達障害"専門"の就労移行支援 | ASD・ADHD・LDの特性に特化した訓練を、同じ仲間と受けたい人。事務職志望の人 | |
IT・データ特化の就労移行支援 | AI・データサイエンスなどITスキルを身につけて就職したい人 | |
大手・汎用の就労移行支援 | パーソル運営の安心感を重視する人。拠点数の多さで選びたい人 |
ざっくり言うと、発達障害専門で準備したいならatGPジョブトレ、ITスキルで勝負したいならNeuro Dive、大手の安心感と拠点数で選ぶならミラトレという住み分けです。
迷ったら、まずは通えそうな範囲の事業所を2〜3カ所見学して、雰囲気とスタッフの相性を比べるのが失敗しないコツです。パンフレットを眺めているだけでは、自分に合うかどうかは判断できません。
見学・相談はすべて無料です。申し込んだからといって必ず通う必要はありません。まずは「自分に合うか」を確かめるところから始めてみてください。
利用できる場合があります。就労移行支援の利用に必須なのは障害者手帳ではなく「障害福祉サービス受給者証」です。手帳がなくても、医師の診断書・意見書や自立支援医療受給者証があれば受給者証を申請でき、自治体の判断で利用が認められるケースがほとんどです(出典:manaby)。診断やグレーゾーンの方でも対象になりうるので、まずは見学時に相談してみてください。
就労移行支援は原則2年間です。状況によっては自治体の判断で最長1年の延長が認められる場合があります(出典:ノードワークス)。「2年で必ず就職しないといけない」というより、自分のペースで準備を進めながら就職を目指す制度だと考えてください。
就労移行支援は、原則として現在仕事に就いていない方が、就職に向けて通所する制度です。在職中の利用には制約があるため、退職後や休職中の方が中心になります。詳しくは見学時に確認するのが確実です。
体調の状態によりますが、生活リズムを整えながら少しずつ準備できるのが就労移行支援の良さです。発達障害から二次的にうつや不安が強くなっている場合は、まず体調の安定が最優先です。発達障害の二次障害を防ぐ方法|うつ・不安障害になる前に知っておきたい予防と対処法も参考に、無理のないタイミングで見学を検討してください。
最後に、ここまでの内容を整理します。
atGPジョブトレ発達障害コースの強みは、何といっても発達障害"専門"の障害別コース制です。同じ特性の仲間と、模擬職場で報連相などを実践できる環境は、一人で準備するのとは別物の価値があります。全体の定着率は93%(2023年就職者の半年後)、事務職就職率は94.5%(2019〜2020年)と、公表データも悪くありません。
一方で、拠点が首都圏・名古屋・大阪に限られること、交通費・昼食代は自己負担であること、スタッフの相性は人によること、といった注意点もあります。「やばい」「最悪」という検索ワードに過剰に怯える必要はありませんが、見学で自分の目と相性を確かめることが、後悔しない唯一の方法だと思います。
利用料はほとんどの人が0円。見学・相談も無料で、申し込んでも通う義務は生じません。「就職してもすぐ辞めてしまう」「特性に合った働き方を整理したい」と感じているなら、判断材料を増やす意味でも、一度見学してみる価値は十分にあります。
そして、もし拠点が遠かったり、ITで勝負したかったりするなら、無理にatGPジョブトレにこだわる必要はありません。あなたに合うサービスを、相性で選んでください。
動けるときに半歩だけ動いておくと、未来の自分がラクになります。完璧なタイミングを待たなくて大丈夫です。
この記事を書いた人 ADHDと診断されたフロントエンドエンジニアです。地方からフルリモートで働いています。かつては転職を繰り返し、「自分は社会人に向いていない」と落ち込んでいました。同じように悩む方が、自分に合う環境を見つけられるよう、当事者の視点で情報を整理しています。
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収800万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。
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