発達障害で休職したときの過ごし方と復職ガイド|焦らず自分のペースで職場復帰する方法

「もう限界だと感じて休職したけど、この先どうすればいいかわからない」「休んでいることに罪悪感がある」「復職したいけど、また同じことの繰り返しになりそうで怖い」
発達障害のある方が、二次障害のうつ病や適応障害をきっかけに休職するケースは少なくありません。発達障害の二次障害を防ぐ方法でも解説していますが、発達障害のある方の約7割が何らかの精神的な不調を経験するというデータもあります。
この記事では、休職中の過ごし方から復職までの具体的なステップ、使える制度、再び同じ状況にならないための対策を紹介します。
休職は「逃げ」ではなく「回復」のための選択
まず伝えたいのは、休職することは決して恥ずかしいことではないということです。
発達障害の特性と職場環境のミスマッチが長期間続くと、心身のエネルギーが枯渇します。そのまま無理を続ければ、うつ病の悪化や回復までの期間の長期化につながります。休職は、壊れてしまう前に自分を守るための積極的な選択です。
「最初は『自分は弱い人間だ』と思っていました。でも今振り返ると、あのとき休む決断をしたからこそ、自分に合った働き方を見つけられたと思います」(30代・ADHD)
休職中に使える制度と手続き
休職中の経済的な不安を軽減するために、以下の制度を確認しておきましょう。
傷病手当金
健康保険に加入していれば、連続3日以上休んだ後の4日目から、最長1年6ヶ月間受給できます。
項目 | 内容 |
|---|---|
支給額 | 標準報酬日額の約2/3 |
支給期間 | 最長1年6ヶ月 |
対象 | 健康保険加入者(国民健康保険は対象外が多い) |
申請先 | 加入している健康保険組合 |
必要書類 | 医師の意見書、事業主の証明 |
毎月の申請が必要なため、主治医と会社の人事担当に手続きの流れを確認しておきましょう。
自立支援医療制度
精神科・心療内科の医療費自己負担が3割から1割に軽減される制度です。休職中は定期的な通院が必要なため、早めに申請しておくと経済的負担が減ります。
障害年金
発達障害の二次障害で日常生活に著しい支障がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。主治医に相談してみてください。
休職中の過ごし方(3つのフェーズ)
休職期間は、焦らず段階的に過ごすことが大切です。
フェーズ1: 休息期(休職〜1ヶ月目)
目標: とにかく休む。何もしなくていい。
この時期に一番大切なのは、「何かしなければ」という気持ちを手放すことです。
- 好きなだけ寝る
- 食べたいものを食べる
- テレビやゲームなど、好きなことをして過ごす
- 「何もしない日」を自分に許可する
「休職直後は罪悪感で何も楽しめませんでした。でも主治医に『今は休むことがあなたの仕事です』と言われて、少し気が楽になりました」(20代・ASD)
やらない方がいいこと
- 仕事のメールやチャットを確認する
- 転職サイトを見る
- 「復職後どうしよう」と考える
- SNSで他人の活動を見て焦る
フェーズ2: 回復期(2〜3ヶ月目)
目標: 生活リズムを整え、少しずつ活動量を増やす。
体力と気力が少し戻ってきたら、生活リズムの立て直しを始めます。
取り組み | 具体例 |
|---|---|
起床時間を固定する | まずは毎日同じ時間に起きる(午前中が目標) |
外出の習慣をつける | 近所の散歩から始める(15分でOK) |
軽い運動 | ストレッチ、ウォーキング |
通院を継続する | 主治医と回復状況を共有する |
発達障害者のためのストレス管理術で紹介しているセルフケアの方法も、この時期から取り入れると効果的です。
フェーズ3: 準備期(4ヶ月目〜復職前)
目標: 復職に向けた具体的な準備を進める。
生活リズムが安定してきたら、復職に向けた準備を始めます。
- 通勤と同じ時間に起きて同じルートで外出する(通勤訓練)
- 図書館やカフェで数時間過ごす(集中力の確認)
- リワークプログラムへの参加を検討する
- 主治医・産業医と復職時期について相談する
リワークプログラムの活用
リワークとは、復職を目指す方のためのリハビリプログラムです。医療機関や就労支援事業所で実施されています。
リワークで学べること
プログラム内容 | 効果 |
|---|---|
生活リズムの安定化 | 毎日決まった時間に通所することで体内時計を整える |
ストレスマネジメント | 自分のストレスサインを知り、対処法を身につける |
認知行動療法 | 物事の捉え方のクセに気づき、思考パターンを修正する |
コミュニケーション練習 | グループワークで職場を想定した練習ができる |
自己理解プログラム | 自分の特性を知り、強みと弱みを整理する |
就労移行支援という選択肢
休職中に「今の会社に戻るべきか迷っている」「別の職場を探したい」と感じた場合は、就労移行支援とはで紹介している就労移行支援の利用も検討してみてください。
特に以下のサービスは、発達障害のある方の復職・再就職支援に実績があります。
- ミラトレ - パーソルグループ運営で就職率84.8%。生活リズムの安定から仕事スキルの習得まで段階的にサポート。復職か転職か迷っている段階での相談もOKです
- Neuro Dive - IT職種に特化した就労移行支援。休職中にITスキルを身につけて、より自分に合った職種への転職も目指せます
- manaby - 在宅×ITスキルで自分のペースで学べる。体調に波がある方でも無理なく通えます
すべて無料で利用できます。まずは見学や説明会で、自分に合うか確認してみてください。
復職を成功させるためのポイント
復職前に確認すること
復職の前に、以下の点を主治医・産業医・人事担当者と確認しておきましょう。
- 復職後の業務内容 - いきなりフル業務に戻るのではなく、段階的に負荷を上げる計画を立てる
- 勤務時間 - 最初は短時間勤務やフレックスタイムが可能か
- 配慮事項 - 職場での合理的配慮の求め方完全ガイドを参考に、必要な配慮を伝える
- 相談窓口 - 困ったときに相談できる人を決めておく
復職後の働き方で気をつけること
期間 | 注意点 |
|---|---|
復職〜1ヶ月 | 「100%の力」で働こうとしない。まずは無理のないペースから |
2〜3ヶ月 | 少しずつ業務量を増やす。無理なペースアップは禁物 |
4ヶ月以降 | 自分のペースが掴めてきたら、通常業務に近づける |
「復職後に一番大変だったのは、『早く元に戻らなきゃ』というプレッシャーでした。産業医に『まだ70%でいいですよ』と言ってもらえたことで、焦りが少し和らぎました」(30代・ADHD)
再休職を防ぐために
同じことの繰り返しにならないためには、休職の原因を分析し、環境を変えることが重要です。
- 原因の振り返り - 何がストレスだったのか、どの特性がミスマッチだったのかを整理する
- 対策の実行 - 配慮の申請、業務内容の調整、人間関係の見直し
- 定期的なセルフチェック - 体調や気分の変化を記録し、悪化のサインに早く気づく
就労支援サービス徹底比較では、復職後も利用できる定着支援サービスについて紹介しています。
転職を考える場合
復職ではなく転職を選ぶことも、正しい判断です。以下のような場合は、環境を変えることを検討してみてください。
- 休職の原因が職場環境にある場合
- 復職しても同じ配慮が得られない場合
- 自分の特性に合った別の職種に挑戦したい場合
サービス | 特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
障害者雇用の求人数業界最大級 | 休職経験を理解してくれる企業を探したい方 | |
障害者転職支援実績No.1 | 特性に合った職場を一緒に探してほしい方 |
すべて無料で利用できます。「休職中だけど、復職か転職か迷っている」という相談もOKです。
まとめ
発達障害で休職することは、自分を守るための大切な決断です。休職中は焦らず、「休息→回復→準備」の3つのフェーズを意識して過ごしましょう。
今日から始められる3つのアクション
- 傷病手当金の手続きが済んでいるか確認する
- 毎日の体調を「青(安全)・黄(注意)・赤(危険)」で記録してみる
- リワークプログラムや就労移行支援の情報を調べてみる
復職も転職も、タイミングは人それぞれです。「早く戻らなきゃ」と焦る必要はありません。十分に回復し、準備を整えてから次の一歩を踏み出すことが、長い目で見た最善の選択です。
ご注意
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
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