
「やらなきゃいけないのに手がつかない」「優先順位がわからなくなる」「締め切りギリギリになってしまう」
ADHDを持つ方なら、こうした段取りの悩みは日常的なものかもしれません。でも、適切なテクニックと工夫を身につければ、特性と上手く付き合いながら仕事をこなすことができます。
この記事では、ADHDの方が職場で実践できる具体的な段取り改善術をご紹介します。ADHDエンジニアの働き方についてはADHDプログラマーという生き方も参考にしてください。
ADHDの方が段取りを苦手とする背景には、脳の特性が関係しています。
特性 | 段取りへの影響 |
|---|---|
ワーキングメモリの制限 | 複数のタスクを頭に保持しにくい |
時間感覚の違い | 締め切りまでの時間を正確に把握しにくい |
報酬系の特性 | 即時の報酬がないタスクに着手しにくい |
注意の切り替え | 一つのことに集中すると他を忘れる |
興味による優先度 | 重要度より興味で優先順位が決まりがち |
段取りの苦手さは、努力不足や性格の問題ではありません。脳の情報処理の仕方が違うだけです。
だからこそ、一般的な段取り術ではなく、ADHDの特性に合った方法が必要です。
ADHDの方は、頭の中だけでタスクを管理しようとすると破綻します。
すべてを書き出す
おすすめツール
ツール | 特徴 | おすすめポイント |
|---|---|---|
Todoist | シンプルなタスク管理 | 入力が簡単、リマインダー充実 |
Notion | 柔軟なデータベース | カスタマイズ自由、視覚的 |
Google Keep | メモ特化 | 即座にメモ、色分け可能 |
Apple リマインダー | iPhone標準 | Siri連携、位置情報リマインダー |
見えないものは存在しないのと同じです。
視覚化のテクニック
デスク周りの工夫
大きなタスクは、それだけで脳が拒否反応を起こします。
タスクの分解例
元のタスク | 分解後 |
|---|---|
レポートを作成する | 1. 目次を作る(10分)<br>2. データを集める(30分)<br>3. 本文を書く(60分)<br>4. 見直す(15分) |
新機能を実装する | 1. 仕様を確認する<br>2. 設計を書く<br>3. テストを書く<br>4. コードを書く<br>5. レビューを依頼する |
分解のコツ
意志の力に頼らず、自動的に段取りが進む仕組みを作ります。
仕組み化の例
2分以内で終わるタスクは、今すぐやる
理由
例
やる気が出ないタスクには「5分だけやる」と自分に言い聞かせます。
「レポートを書く」ではなく「5分だけレポートに手をつける」
なぜ効果があるか
誰かと一緒に作業することで、集中力を維持します。
方法
ADHDの方は締め切り直前にならないとエンジンがかからないことが多いです。
対策:自分だけの締め切りを設定
実際の締め切り | 自分の締め切り | バッファ |
|---|---|---|
金曜日 | 水曜日 | 2日 |
月末 | 25日 | 5日 |
来週月曜 | 今週金曜 | 3日 |
ポイント
ADHDの脳は、即時の報酬に反応しやすい特性があります。
報酬の例
ポイント
タスクを4つの象限に分類します。
緊急 | 緊急でない | |
|---|---|---|
重要 | 今すぐやる | スケジュールに入れる |
重要でない | 人に任せる/短時間で済ませる | やらない/後回し |
ADHDの方向けの使い方
今日やるべき最も重要なタスクを3つだけ決める
ルール
例
今日のMIT
- プルリクエストのレビュー(チームブロック中)
- 新機能の設計書作成
- クライアントへの進捗報告メール
自分のエネルギーレベルに合わせてタスクを配置します。
時間帯 | エネルギー | 適したタスク |
|---|---|---|
9:00-11:00 | 高 | 集中力が必要な作業(コーディング、設計) |
11:00-12:00 | 中 | メール対応、ミーティング |
13:00-14:00 | 低(昼食後) | 単純作業、整理整頓 |
14:00-16:00 | 中〜高 | 集中作業(第2波) |
16:00-17:00 | 中 | レビュー、翌日の準備 |
自分のエネルギーパターンを把握する
毎朝10分、その日の段取りを立てます。
手順
テンプレート例
今日の予定
- MIT1:〇〇(9:00-10:30)
- MIT2:〇〇(10:30-12:00)
- MIT3:〇〇(14:00-15:00)
- その他:メール確認、Slack対応
タスクに時間の「箱」を設定し、その時間内で終わらせます。
やり方
ADHDの方向けのコツ
週に1回、段取りの振り返りを行います。
チェック項目
おすすめタイミング
デスク周り
整理整頓のルール
- 使ったものは元の場所に戻す
- 「とりあえず置く」場所を決める
- 週1回、15分の整理タイム
通知の管理
ファイル管理
段取りの工夫について、必要に応じて周囲に伝えることも大切です。
伝え方の例
「私は複数のタスクを同時に抱えると混乱しやすいので、優先順位を明確にしていただけると助かります」
「急な依頼があると対応が難しいことがあるので、可能であれば前日までにお知らせいただけると確実に対応できます」
事前準備
会議中
フルリモートでの働き方については発達障害エンジニアのリアルな1日も参考にしてください。
段取りが上手くいかない日もあります。それは普通のことです。
心がけ
振り返りの質問
- なぜ段取りが崩れたのか?
- 次回、同じ状況でどうすれば良いか?
- 仕組みで防げることはないか?
自分を責めすぎないことも大切です。
「段取りが苦手なのはADHDの特性であって、私のせいではない。でも、工夫で改善することはできる。」
ADHDの方が段取りを改善するための基本原則をおさらいします。
段取りの改善は一朝一夕にはいきません。でも、一つずつテクニックを試して、自分に合った方法を見つけていけば、必ず改善できます。
特性を理解した転職活動については発達障害の転職で失敗しない7つのポイントもぜひ参考にしてください。
今の職場環境では段取りが難しいと感じたら、より働きやすい環境への転職も選択肢です。
ITエンジニア専門
障害者雇用での転職
ADHDと診断されたフロントエンドエンジニア。段取りの苦手さに悩み続けた経験から、特性に合った仕事術を研究。現在はフルリモートで働きながら、タスク管理ツールとルーティンを駆使して安定した生産性を実現。
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収800万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。
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