発達障害のクローズ就労完全ガイド|障害を伝えずに働くメリット・デメリットと成功戦略

「障害を伝えずに働きたいけど、本当に大丈夫だろうか」「クローズで働いて、もしバレたらどうなるのか」
発達障害の診断を受けた後、転職で最も悩むのがオープン(障害開示)かクローズ(障害非開示)かという選択ではないでしょうか。
この記事では、障害を非開示にして働くことのメリット・デメリットを正直にお伝えした上で、この働き方を選ぶ場合の具体的な成功戦略を解説します。筆者自身もクローズで働いていた経験があり、その実体験も踏まえてお伝えします。
クローズ就労とは
クローズ就労とは、障害があることを企業に伝えずに一般雇用枠で働くことです。反対に、障害を開示して働くことをオープン就労と呼びます。
この働き方では障害者手帳を持っていても、それを企業に提出する義務はありません。障害の開示は本人の判断に委ねられています。
障害者雇用(オープン就労)の仕組みについて詳しく知りたい方は、障害者雇用とは?一般雇用との違い|発達障害者が知るべきメリット・デメリットを徹底解説を参考にしてください。
オープン就労とクローズ就労の違い
まず、両者の違いを整理しましょう。
項目 | オープン就労 | クローズ就労 |
|---|---|---|
障害の開示 | 企業に伝える | 伝えない |
雇用枠 | 障害者雇用枠 or 一般枠 | 一般雇用枠 |
合理的配慮 | 受けやすい | 受けにくい |
給与水準 | 平均月収13万円程度 | 一般雇用と同等 |
求人数 | 限定的 | 豊富 |
キャリアアップ | 制限されることがある | 制限なし |
職場定着率 | 高い(1年後70%程度) | やや低い(1年後50%程度) |
「正直に言うと、クローズで働いていた時期は給料も良くて仕事の選択肢も多かった。でもその分、誰にも相談できない孤独感がつらかったです」(30代・ADHD・エンジニア)
クローズ就労のメリット
メリット1: 給与水準が高い
障害を非開示にして働く最大のメリットは、一般雇用と同じ給与水準で働けることです。障害者雇用の平均月収が約13万円なのに対し、一般雇用では職種や経験によって大きく上回ります。
特にIT業界やエンジニア職では、スキルに応じた正当な評価を受けやすく、年収アップも十分に狙えます。
メリット2: 求人数・職種の選択肢が豊富
障害者雇用枠と比較すると、一般雇用の求人数は圧倒的に多く、職種の選択肢も広がります。「やりたい仕事」を基準に転職先を選べるのは大きなメリットです。
メリット3: キャリアアップに制限がない
障害者雇用では、業務内容が限定されたり昇進の機会が制限されるケースがあります。非開示での就労であれば、一般社員と同じキャリアパスを歩むことができます。
メリット4: 偏見を受けるリスクがない
残念ながら、発達障害に対する理解が十分でない職場もまだ多くあります。障害を伝えない働き方であれば、障害を理由にした偏見や差別的な扱いを避けることができます。
クローズ就労のデメリット
デメリット1: 合理的配慮を受けられない
非開示で働く最大のデメリットは、障害特性に対する配慮を求めにくいことです。業務量の調整やコミュニケーション方法の配慮など、オープン就労であれば得られるサポートが受けられません。
オープン就労で受けられる配慮について詳しくは、職場での合理的配慮の求め方完全ガイド|働きやすい環境を作る方法で解説しています。
デメリット2: 特性を隠すストレス
「素の自分を出せない」というストレスは、想像以上に大きな負担になります。苦手なことを隠すために過剰に努力し、結果として燃え尽きてしまうケースも少なくありません。
デメリット3: 職場定着率が低い傾向
厚生労働省の調査によると、障害を開示して入社した場合の1年後の定着率は約70%ですが、非開示の場合は約50%にとどまります。配慮が得られないことで無理が蓄積し、退職に至るパターンが多いのが実情です。
デメリット4: 困ったときに相談しづらい
体調不良やパニック時に、本当の理由を説明できないのは大きなリスクです。「なぜ急に調子が悪くなるのか」を周囲が理解できないため、誤解を受けることがあります。
クローズ就労が向いている人・向いていない人
クローズ就労が向いている人 | オープン就労を検討した方がいい人 |
|---|---|
特性のセルフケアがある程度できる | 日常的に配慮やサポートが必要 |
苦手分野を避けた職種を選べる | 幅広い業務に対応する必要がある |
給与やキャリアを優先したい | 安定した環境で長く働きたい |
通院や服薬の管理が自分でできる | 勤務時間の調整が必要 |
ストレス管理の方法を持っている | 精神的に不安定な時期がある |
どちらが正解ということはありません。自分の状態と優先順位に合わせて選ぶことが大切です。
オープン就労を選んだ方の体験談は、発達障害をカミングアウトした結果|職場での変化と対処法で詳しく紹介しています。
クローズ就労を成功させる5つの戦略
戦略1: 自分の特性を徹底的に把握する
障害を非開示にして働く場合、自分で自分の特性をマネジメントする必要があります。まず、以下を明確にしましょう。
把握しておくこと
項目 | 具体例 |
|---|---|
得意なこと | 集中力が高い、細部に気づく、論理的思考 |
苦手なこと | マルチタスク、電話対応、急な予定変更 |
パフォーマンスが落ちるサイン | 睡眠の質が下がる、ケアレスミスが増える |
回復に効果的なこと | 一人の時間、散歩、趣味の時間 |
戦略2: 特性を避けられる職場環境を選ぶ
この働き方で最も重要なのが環境選びです。配慮を受けられない分、最初から自分に合った環境を選ぶことが成功の鍵になります。
発達障害の方が働きやすい環境の特徴
- リモートワーク可能(感覚過敏・対人ストレスの軽減)
- 業務内容が明確(曖昧な指示が少ない)
- テキストベースのコミュニケーション(口頭指示が少ない)
- フレックスタイム制(通院や体調管理がしやすい)
- 個人で進める業務が多い(マルチタスクが少ない)
特にIT業界はこれらの条件を満たす企業が多く、非開示での転職との相性が良い領域です。
戦略3: 苦手を「個性」として自然に伝える
障害を伝えない場合でも、自分の働き方の傾向を「障害」としてではなく「個性」として伝えることは可能です。
伝え方の例
「静かな環境の方がパフォーマンスを発揮できるタイプです」
「テキストで整理してから取り組む方が、確実に仕上げられます」
「一つの業務に集中して取り組む方が得意です」
面接でも入社後でも、このような伝え方であれば「自分の働き方を理解している人」という好印象を与えられます。
戦略4: セルフケアの仕組みを作る
配慮を受けられない分、自分でセルフケアの仕組みを構築しておくことが不可欠です。
セルフケアチェックリスト
- タスク管理ツールを決めておく(Todoist、Notion等)
- 通院スケジュールを確保できる勤務体系か確認
- 困ったときの外部相談先を持っておく(主治医、カウンセラー、支援機関)
- 「限界サイン」を事前に決めておく(これ以上は危険というライン)
- 定期的なリフレッシュの習慣を作る
戦略5: 転職エージェントを賢く活用する
非開示での転職は、一般の転職エージェントを活用できます。エージェントに障害のことを伝えるかどうかは任意ですが、エージェントには伝えて、応募先企業には伝えないという方法も有効です。
エージェントに特性を伝えておけば、自分に合った環境の求人を紹介してもらいやすくなります。
各エージェントの特徴を比較したい方は、発達障害向け転職エージェント7社比較を参考にしてください。
「セミオープン」という選択肢も
オープンとクローズの中間として、セミオープンという方法もあります。これは、直属の上司や人事担当者など一部の人にだけ障害を伝える方法です。
セミオープンのメリット
- 必要最小限の配慮を受けられる
- 全社的に知られるリスクを減らせる
- 困ったときの相談先ができる
「完全に隠すのは不安だけど、全員に知られたくない」という方には、検討する価値のある選択肢です。
手帳の有無やグレーゾーンの状態で働き方に悩んでいる方は、発達障害グレーゾーンの転職ガイド|診断なし・手帳なしでも自分に合った仕事を見つける方法もあわせてご覧ください。
クローズ就労で使える転職サービス
クローズ就労を選ぶ場合、一般の転職エージェントを利用します。特にIT業界はリモートワークやフレックスなど、発達障害の方が働きやすい環境が整っている企業が多い領域です。
IT業界で自分に合った職場を探したい方へ
サービス | 特徴 | こんな方におすすめ |
|---|---|---|
IT職種に完全特化、キャリア相談の質が高い | 自分の特性に合ったIT企業を見つけたい方 | |
20-30代エンジニア特化、リモート案件豊富 | エンジニアとして年収アップを目指す方 |
やっぱりオープン就労も検討したい方へ
「記事を読んで、やはり配慮がある方が安心」と感じた方は、障害者雇用専門のエージェントも検討してみてください。
サービス | 特徴 | こんな方におすすめ |
|---|---|---|
障害者雇用の求人数が業界最大級 | 選択肢を広げたい方 | |
障害者転職支援の実績No.1 | 手厚いサポートが欲しい方 |
いずれも無料で利用できます。まずは無料相談で、自分の状況を整理してみることをおすすめします。
まとめ:自分に合った「開示の程度」を選ぼう
クローズ就労は「障害を隠す」というネガティブなものではなく、自分の働き方を戦略的に選択するということです。
この記事のポイント
- クローズ就労は給与やキャリアの面でメリットが大きい
- 一方で、配慮を受けられない分のセルフケア力が求められる
- 成功の鍵は「自分に合った環境」を最初から選ぶこと
- 苦手は「個性」として伝えれば、障害を開示せずとも工夫できる
- 完全オープン・完全クローズだけでなく「セミオープン」という選択肢もある
大切なのは、オープンかクローズかの二択ではなく、自分にとって最も働きやすい「開示の程度」を選ぶことです。
まずは自分の特性と優先順位を整理するところから始めてみてください。
ご注意
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
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