障害者雇用とは?一般雇用との違い|発達障害者が知るべきメリット・デメリットを徹底解説

「障害者雇用って一般雇用と何が違うの?」「給料は下がるの?」「発達障害でも使える?」
転職を考え始めると、「障害者雇用」という選択肢が目に入ってきます。でも、実際にどんな制度なのか、自分に合っているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、障害者雇用の基本的な仕組みから一般雇用との違い、発達障害(ADHD・ASD)の方が知っておくべきメリット・デメリットまで、分かりやすく解説します。
障害者雇用とは?制度の基本を理解しよう
障害者雇用とは、障害者雇用促進法に基づいて、企業が障害のある方を一定の割合で雇用する制度です。
法定雇用率とは
企業には「法定雇用率」が定められており、従業員の一定割合以上の障害者を雇用する義務があります。
区分 | 法定雇用率(2026年現在) |
|---|---|
民間企業 | 2.5% |
国・地方公共団体 | 2.8% |
都道府県の教育委員会 | 2.7% |
例えば、従業員が1,000人いる企業であれば、最低25人の障害者を雇用する義務があります。法定雇用率を満たさない企業には納付金が課されるため、多くの企業が積極的に障害者を採用しています。
障害者雇用の対象者
障害者雇用枠で応募するには、原則として障害者手帳を持っていることが条件です。
- 精神障害者保健福祉手帳 - 発達障害(ADHD・ASD)の方はこちらに該当
- 身体障害者手帳 - 身体に障害のある方
- 療育手帳 - 知的障害のある方
手帳の取得については、障害者手帳のメリット・デメリット|発達障害で取得を迷っている方への完全ガイドで詳しく解説しています。
障害者雇用と一般雇用の違い
障害者雇用と一般雇用、それぞれの特徴を比較します。
比較項目 | 障害者雇用 | 一般雇用 |
|---|---|---|
応募条件 | 障害者手帳が必要 | 手帳不要 |
合理的配慮 | 企業に提供義務あり | 自分から申し出が必要 |
求人数 | 限られる | 豊富 |
給与水準 | やや低い傾向 | 職種・スキル次第 |
業務内容 | 配慮された内容 | 一般的な業務 |
障害の開示 | 必須(オープン就労) | 任意(クローズ就労も可) |
職場の理解 | 得られやすい | 開示しなければ得られにくい |
オープン就労とクローズ就労
障害者雇用に関連して知っておきたいのが、オープン就労とクローズ就労の違いです。
- オープン就労(障害者雇用枠) - 障害を開示して働く。配慮が得られやすい
- クローズ就労(一般雇用枠) - 障害を開示せずに働く。給与は高いが配慮は期待しにくい
「私はADHDであることをオープンにして障害者雇用枠で転職しました。"タスクを一つずつ指示してほしい"という配慮をお願いできるようになり、仕事のミスが激減しました」(30代・ADHD)
「以前はクローズで働いていましたが、特性を隠すストレスで体調を崩しました。オープンに切り替えてからは、周囲に理解してもらえて気持ちが楽になりました」(20代・ASD)
障害者雇用のメリット
発達障害の方にとって、障害者雇用には大きなメリットがあります。
合理的配慮が受けられる
障害者雇用の最大のメリットは、合理的配慮を正式に受けられることです。
発達障害の方が受けられる合理的配慮の例:
特性 | 配慮の具体例 |
|---|---|
集中力の波がある(ADHD) | 静かな席の配置、ノイズキャンセリングイヤホンの使用許可 |
マルチタスクが苦手(ADHD) | 業務の優先順位を明確にした指示 |
口頭指示が苦手(ASD) | 文書やチャットでの指示 |
急な予定変更が苦手(ASD) | スケジュール変更の事前通知 |
感覚過敏がある | 照明の調整、パーテーションの設置 |
合理的配慮の詳しい内容や申請方法は、合理的配慮の申請方法と成功事例15選で紹介しています。
職場の理解が得られやすい
障害者雇用では、上司や同僚が障害について一定の理解を持っています。「なぜミスが多いの?」「なぜ電話対応ができないの?」といった誤解を受けにくく、精神的な負担が大幅に軽減されます。
定着支援を受けられる
障害者雇用では、就労定着支援やジョブコーチなどのサポートを受けられることがあります。入社後に困ったことがあっても、第三者に相談できる体制が整っています。
「入社して最初の1ヶ月はジョブコーチが定期的に職場を訪問してくれました。自分では言いにくい配慮事項を、ジョブコーチが会社に伝えてくれたのが助かりました」(20代・ASD)
長く安定して働ける
特性を理解してもらえる環境で働けるため、結果として職場定着率が高くなる傾向があります。無理をして体調を崩すリスクが減り、長期的なキャリア形成がしやすくなります。
障害者雇用のデメリット
メリットだけでなく、正直に知っておくべきデメリットもあります。
給与水準がやや低い
障害者雇用の給与は、一般雇用と比べて低い傾向にあります。
雇用形態 | 平均月収の目安 |
|---|---|
精神障害(障害者雇用) | 約12〜18万円 |
一般雇用(事務職) | 約20〜25万円 |
一般雇用(IT系) | 約25〜40万円 |
ただし、これは全体の平均であり、スキルや経験次第で一般雇用と変わらない給与を得ている方もいます。特にIT系のスキルがある方は、障害者雇用でも好待遇の求人が増えています。
求人の選択肢が限られる
障害者雇用枠の求人は、一般雇用と比べると数が少ないのが現状です。特に地方では求人が限られるため、複数の転職エージェントを活用して選択肢を広げることが重要です。
転職エージェントの選び方は、発達障害者向け転職エージェント7社比較を参考にしてください。
業務内容が限定されることがある
障害への配慮として、業務内容が限定されるケースがあります。「もっと難しい仕事に挑戦したい」と感じる方にとっては、物足りなさを感じることもあるかもしれません。
「最初は簡単な事務作業ばかりで正直退屈でした。でも、半年間しっかり成果を出したら、少しずつ企画の仕事も任せてもらえるようになりました」(30代・ADHD)
入社後に業務内容を広げていくことは十分可能です。まずは信頼を築くことが大切です。
障害を開示する必要がある
障害者雇用枠では、必然的に障害を開示することになります。「職場に知られたくない」と感じる方にとっては心理的なハードルがあるかもしれません。
ただし、実際にオープンにして働いている方の多くは、「隠して働くストレスから解放された」「特性を伝えることでむしろ働きやすくなった」と感じています。
障害者雇用が向いている人・向いていない人
障害者雇用が向いている人
- 職場で合理的配慮を受けたい方 - 特性への理解が必要
- 過去にクローズ就労で体調を崩した経験がある方 - 無理なく働ける環境が大切
- 長期的に安定して働きたい方 - 定着支援で長く続けやすい
- 転職を繰り返してしまう方 - 配慮のある環境で定着率が上がる
一般雇用が向いている人
- 障害の程度が軽く、配慮がなくても働ける方 - 自分で対処できる範囲
- 給与を最優先にしたい方 - スキル次第で高収入を目指せる
- 障害を職場に開示したくない方 - クローズ就労を希望
自分の特性に合った職種選びも重要です。発達障害の特性を活かせる職種15選も参考にしてみてください。
障害者雇用での転職を成功させるポイント
自分の特性と配慮事項を明確にする
「何ができて、何が苦手なのか」「どんな配慮があれば力を発揮できるのか」を具体的に整理しましょう。
整理すべき項目 | 具体例 |
|---|---|
得意なこと | 細かい作業、データ分析、集中力 |
苦手なこと | 電話対応、マルチタスク、急な変更 |
必要な配慮 | 文書での指示、静かな環境、定期面談 |
働き方の希望 | フルリモート、時短勤務、フレックス |
配慮事項を面接で上手に伝える方法は、職場での合理的配慮の求め方完全ガイドで解説しています。
障害者雇用に強い転職エージェントを活用する
障害者雇用の求人は、一般の転職サイトには掲載されていないものも多くあります。障害者雇用専門の転職エージェントを利用することで、非公開求人にもアクセスできます。
おすすめのエージェント:
サービス | 特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
dodaチャレンジ | 求人数業界最大級 | 選択肢を広げたい方 |
atGP | サポート実績No.1 | 手厚いサポートが欲しい方 |
どちらも無料で利用できるので、両方に登録して比較するのが効果的です。
就労移行支援の活用も検討する
「いきなり転職は不安」という方は、就労移行支援を利用してから転職活動を始める方法もあります。ビジネスマナーやスキルトレーニングを受けながら、自分に合った働き方を見つけられます。
まとめ
障害者雇用は、発達障害の方にとって合理的配慮を受けながら安定して働ける有力な選択肢です。
この記事のポイント:
- 障害者雇用は障害者手帳を持つ方が対象の雇用制度
- 合理的配慮が受けられ、職場の理解が得られやすいのが最大のメリット
- 給与はやや低い傾向だが、スキル次第で一般雇用と変わらない待遇も可能
- 自分の特性と配慮事項を明確にすることが転職成功の鍵
- 障害者雇用専門の転職エージェントを活用して選択肢を広げよう
「一般雇用で無理をして疲弊するくらいなら、障害者雇用で自分に合った環境で長く働く方がいい」――これは実際に障害者雇用に切り替えた多くの方が実感していることです。
転職活動の進め方について詳しく知りたい方は、発達障害の転職で失敗しない7つのポイントもあわせてご覧ください。
ご注意
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
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