発達障害でマルチタスクができない人へ|一点集中を武器にする仕事術と向いてる職種

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発達障害でマルチタスクができない人へ|一点集中を武器にする仕事術と向いてる職種
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電話を取りながらメモを取る。会議で話を聞きながら議事録をまとめる。資料を作っている最中に「これも今日中にお願い」と声をかけられる。

それだけで、頭の中が真っ白になって、何から手をつけていいかわからなくなる。気づけば一日中バタバタしていたのに、何ひとつ終わっていない。

僕も全く同じでした。ADHDと診断されたフロントエンドエンジニアですが、新卒で入った会社では「同時に2つやって」と言われるたびに固まっていました。当時は「自分は要領が悪いダメな人間だ」と本気で思っていました。

でも今は、地方からフルリモートで働き、年収は1200万円になりました。何が変わったのか。マルチタスクをやめて、一点集中で勝負できる仕事と環境に移っただけです。

この記事では、発達障害でマルチタスクができない原因をワーキングメモリの観点から整理したうえで、「仕事を強制的にシングルタスクにする具体テクニック」と「そもそも同時進行を求められない向いてる職種」を、僕自身の失敗と試行錯誤を交えて紹介します。読み終わるころには、「できない自分を責める」より「できる環境に寄せる」という発想に切り替わっているはずです。

マルチタスクができないのは「能力不足」ではない

まず、いちばん伝えたいことから。

発達障害でマルチタスクができないのは、努力が足りないからでも、能力が低いからでもありません。脳の情報処理の仕方が、いわゆる定型発達の方とは少し違うだけです。

鍵になる要因のひとつ「ワーキングメモリ」

マルチタスクの正体を理解するには、「ワーキングメモリ」という言葉を知っておくと一気にラクになります。

ワーキングメモリとは、何かの作業をするあいだ、必要な情報を一時的に頭の中に置いておく「脳の作業机」のようなものです。電話番号を聞いてからメモするまでの数秒間、その数字を覚えていられるのもこの機能のおかげです。

発達障害、特にADHDのある方は、この作業机が狭めの傾向があると言われています。机が狭いと、書類を何枚も同時に広げられません。1枚作業しているあいだに横の書類を見ようとすると、もとの書類が机から落ちてしまう。これが「同時進行ができない」「割り込まれると、さっきまでやっていたことを忘れる」という感覚の正体です。

ここで大事なのは、机が狭いこと自体は「悪いこと」ではない、という点です。1枚に集中しているときの作業の深さは、机が広い人にはマネできないこともあります。実際、僕がコードを書いているときの没頭は、同僚から「人が変わったみたい」と言われるほどです。

なお、マルチタスクの苦手さに関わるのはワーキングメモリだけではなく、注意の切り替えや実行機能の特性も影響します。こうした傾向には個人差が大きく、ここで書いているのはあくまで一般的な傾向です。診断や特性の評価は医師にしかできないので、強く気になる場合は専門の医療機関に相談してみてください。

ADHDとASDで「苦手の出方」は少し違う

ひとくちに「マルチタスクが苦手」と言っても、ADHDとASD(自閉スペクトラム症)では現れ方が少し違います。自分がどちらのタイプに近いかを知っておくと、対策の選び方が変わってきます。

特性

マルチタスクでつまずくポイント

ADHD(注意欠如・多動症)

注意があちこちに飛ぶ。割り込みで前の作業を忘れる。優先順位を決める前に手が動く

ASD(自閉スペクトラム症)

急な予定変更や割り込みに弱い。作業を切り替える「切り替えコスト」が大きく、混乱しやすい

ADHDの僕の場合は「気が散って戻れなくなる」が多く、ASD傾向の強い知人は「予定が崩れた瞬間に頭が止まる」と言っていました。同じ「マルチタスクができない」でも、中身はけっこう別物なんですよね。

ここまで読んで、「自分はどっちのタイプだろう」と少し思い当たる節はありませんか。原因がわかったところで、次は「では具体的にどうすればいいのか」を見ていきましょう。

仕事を強制的にシングルタスクにする7つのテクニック

マルチタスクが苦手なら、答えはシンプルです。マルチタスクを「やらない」状態を、自分の力でつくってしまえばいい。

ここでは、僕が実際に職場で使ってきて効果があったものを中心に紹介します。根性で頑張る話は一切出てきません。すべて「仕組み」で一点に絞る方法です。

1. 頭の中ではなく「外」にタスクを置く

狭い作業机に全部のせようとするから、こぼれる。だったら、机の外に置けばいい。

思いついたタスクは、その場で全部メモに書き出します。紙でもアプリでも構いません。僕はSlackの自分宛てチャンネルに、思いついた瞬間に一行ずつ放り込んでいます。

ポイントは「あとで書こう」を禁止にすること。あとで、は来ません。これは断言できます。

2. 「いま触る1個」以外は視界から消す

シングルタスクで最強なのは、物理的に「1個しか見えない」状態をつくることです。

  • 作業中のアプリ・ウィンドウ以外は全部最小化する
  • デスクの上には、いま使う資料1つだけを置く
  • スマホは裏返して、別の部屋か引き出しへ

「ワンウィンドウ原則」と僕は呼んでいます。これだけで作業の脱線が驚くほど減りました。

3. 「耳」と「目」を同時に使わない

マルチタスクが一気にしんどくなるのは、「聞きながら書く」「話しながら操作する」のように、別々の感覚を同時に使うときです。

だから僕は、口頭での指示が苦手なことを早めに周囲に伝えて、「あとでチャットかメールでも送ってもらえますか」とお願いするようにしています。耳で聞いた情報を、文字という「見える形」にしてもらうだけで、机から書類が落ちなくなります。

4. 割り込みは「いったん受け止めて、戻る場所を残す」

ADHDのいちばんの天敵は割り込みです。話しかけられた瞬間に、やっていたことが消えます。

そこで、割り込まれたら反射的にこう返すクセをつけました。

「今これをやっているので、◯分後でもいいですか?」または「了解です、メモしておくので少し待ってください」

そして、中断する前に「次にやること」を一行だけメモに残してから席を立ちます。戻ってきたときに「あれ、何してたっけ」がなくなり、復帰の負担が激減します。

5. タスクは「同時に2つ」ではなく「順番に1つずつ」へ変換する

複数の作業を任されたとき、頭の中で並行処理しようとすると破綻します。やることは、同時処理を「順番の処理」に置き換えるだけ。

例えば「資料作成」と「メール返信」を抱えたら、両方を行き来するのではなく、「先に15分メールを全部片付ける→その後ひたすら資料だけ」と決めます。切り替え回数を減らすほど、脳のムダな消耗が減ります。

6. 時間で区切って「1個ずつ」に集中する

「今からこの30分は、これしかやらない」と時間で枠を区切るのも効きます。

僕はタイマーを25分にセットして、その間は他のことを一切やらないと決めています。終わったら少し休む。これを繰り返すと、自然と「1度に1個」のリズムができます。短い時間なら、注意が飛びやすい人でも持ちこたえやすいんです。

7. 過集中を「敵」ではなく「武器」として設計する

ここまではマルチタスクを避ける話でしたが、シングルタスクが得意ということは、裏を返せば「1つのことに深く入り込める」という強みでもあります。

ADHDやASDのある方の「過集中」は、コントロールできれば最大の武器です。割り込みのない時間帯(僕は早朝です)に、いちばん重い仕事を1つだけ置く。この設計をしてから、僕の仕事の評価は一変しました。

タスク管理や段取りそのものをもっと深く整えたい方は、職場で実践できるADHDの段取り改善術|先延ばしを防ぎタスクを確実にこなす方法であわせて読んでみてください。この記事のテクニックと組み合わせると効果が上がります。

それでも「環境」が合わなければ意味がない

正直に書きます。

ここまでのテクニックは、どれも効果があります。でも、いくら自分で工夫しても、職場そのものが「マルチタスク前提」でできていたら、消耗戦になります。

僕の1社目がまさにそうでした。電話・来客・上司からの口頭指示・締め切りバラバラの案件が、常に同時に降ってくる。どんなに工夫しても、構造的に一点集中できない環境だったんです。当時は「自分の努力が足りない」と毎晩落ち込んでいましたが、今振り返ると、あれは環境とのミスマッチでした。

仕事が続かなかったり、ミスが増えてしまうのは、特性そのものより「特性と環境の相性」が原因なことが多いです。同じように悩んでいる方は、ADHDで仕事が続かない原因と対策|転職を繰り返さないための実践ガイドや、仕事のミスが多くて叱られる…ADHD・ASDの対策チェックリストも読んでみてください。「自分が悪い」という思い込みが少しほどけるはずです。

だから、テクニックと同じくらい大事なのが、「そもそもマルチタスクを求められにくい仕事を選ぶ」という発想です。次の章で具体的に見ていきます。

マルチタスクを求められにくい「向いてる職種」の条件

「向いてる職種は◯◯です」とリストだけ並べても、あまり役に立たないと僕は思っています。職種名より、「どんな条件の仕事なら一点集中で戦えるか」という条件で見たほうが、応用が効くからです。

一点集中できる仕事に共通する3つの条件

条件

なぜ働きやすいか

自分のペースで進められる

割り込みが少なく、1つの作業に没頭しやすい

成果物が「モノ」で残る

評価が「同時にさばく力」ではなく「アウトプットの質」で決まる

工程を1つずつに分解できる

シングルタスクの積み重ねとして仕事を組み立てられる

逆に言えば、この3つが揃っていない仕事——たとえば、電話対応と来客と事務が常に同時に飛んでくる仕事は、特性的にしんどくなりやすいということです。

具体的に挙げるなら、こんな職種

上の条件を満たしやすい職種を、いくつか挙げます。あくまで「相性がいい人が多い傾向」なので、合うかどうかは人によります。

  • エンジニア・プログラマー(1つの機能を集中して作り込む)
  • Webライター・校正・編集(文章という1つの対象に向き合う)
  • データ入力・データ集計・経理(手順が決まっていて1つずつ進む)
  • 設計・CAD・デザインなどの制作系(成果物がモノで残る)
  • 研究職・職人系(深く掘る力が活きる)

僕がエンジニアという仕事に救われたのは、まさにこの「1つの機能に没頭できる」点でした。誰にも割り込まれない時間に、1つのコードと向き合う。マルチタスクで地獄だった僕が、シングルタスクの世界では水を得た魚になれたんです。

特性を活かせる職種をもっと幅広く知りたい方は、発達障害の特性を活かせる職種15選|強みを仕事に変える適職ガイドで詳しく紹介しています。職種選びで迷っている方は、ここから自分に合いそうなものを探してみてください。

マルチタスクの渦から抜け出す、いちばん現実的な一歩

ここまで読んで、「テクニックは試す。でも、今の職場が根本的にマルチタスク前提だ」と感じた方もいると思います。

その場合に効くのは、気合いではなく「環境を変える」という選択肢です。

ただ、自分ひとりで「一点集中できる職場」を求人票から見抜くのは、正直かなり難しいです。求人情報には「マルチタスクが少ない」なんて書いていませんから。

そこで頼りになるのが、発達障害の特性を理解した転職エージェントです。「割り込みが多い環境が苦手」「1つの作業に集中できる仕事を探している」と伝えれば、その条件に合う職場を一緒に探してくれます。僕自身、今の働き方にたどり着けたのは、特性を理解してくれる人に相談できたことが大きかったです。

サービス

特徴

こんな人におすすめ

dodaチャレンジ

障害者雇用の求人数が業界最大級。発達障害専門のアドバイザーが在籍

選択肢を広げて、一点集中できる職場を探したい方

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特性をどう伝えるか含めて、丁寧にサポートしてほしい方

気になったサービスがあれば、登録・相談は無料です。一人で抱え込まず、まずは話を聞いてみるところから始めてみてください。

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転職エージェントの選び方をじっくり比較したい方は、発達障害向け転職エージェント7社比較|ADHD・ASD対応【2026年版】も参考にしてみてください。

まとめ:マルチタスクをやめると、本当の力が出せる

最後に、この記事の要点を振り返ります。

  • 発達障害でマルチタスクができないのは、能力不足ではなくワーキングメモリの特性。「作業机が狭い」だけで、深く集中する力はむしろ強み
  • ADHDは「気が散って戻れない」、ASDは「切り替えに弱い」と、苦手の出方が違う。自分のタイプに合わせて対策を選ぶ
  • 仕事は工夫しだいで「強制シングルタスク」にできる。頭の外に出す、1個以外を視界から消す、耳と目を同時に使わない、同時処理を順番に変換する、など
  • どれだけ工夫しても、マルチタスク前提の環境では消耗する。「一点集中できる仕事」を選ぶ視点が、テクニックと同じくらい大事

僕は長いあいだ、マルチタスクができない自分を責めていました。でも、責めても何も変わりませんでした。変わったのは、「できる環境に自分を寄せた」ときです。

マルチタスクができないのは、直すべき欠点ではありません。一点集中という別の強みの裏返しです。その強みが活きる場所に移るだけで、評価も働きやすさも、驚くほど変わります。

あなたが今いる場所が、もし「同時にいくつも」を当たり前に求めてくるなら。それはあなたの問題ではなく、場所の問題かもしれません。一点集中で勝負できる場所は、ちゃんとあります。


この記事を書いた人

ADHDと診断されたフロントエンドエンジニアです。新卒の職場ではマルチタスクができず固まってばかりでしたが、一点集中で戦える開発の仕事と出会って人生が変わりました。地方在住・フルリモート勤務、転職は5回。同じように悩む方に、当事者としてのリアルな経験を届けたいと思っています。

ご注意

この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。

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この記事を書いた人

りく

  • ADHD当事者
  • 転職5回経験
  • 現役エンジニア
  • フルリモート勤務

社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収1200万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。

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