「障害者雇用で働こうと決めたものの、そもそも求人ってどこで探せばいいんだ?」 「エージェント、求人サイト、ハローワーク…名前は聞くけど、何がどう違うのか分からない」
求人を探し始めた段階で、ここでつまずく方はとても多いです。僕もそうでした。ADHDの診断を受けて働き方を見直そうとしたとき、選択肢が多すぎて、逆に一歩も動けなくなった時期があります。情報を集めるほど混乱する、あの感覚です。
先に結論をお伝えします。障害者雇用の求人を探す経路は大きく5つあって、それぞれ得意・不得意がはっきり分かれています。そして発達障害(ADHD・ASD)のある人にとっては、最初に障害者専門の転職エージェントに登録しておくのが、いちばん効率がいいというのが僕の考えです。理由はあとで正直に説明します。
この記事を読むと、5つの探し方それぞれのメリット・デメリットと「向いている人」、自分はどこから手をつければいいか、そして「求人が見つからない」と感じたときの具体的な打開策がわかります。ハローワークや就労移行支援も、いいところ・物足りないところを隠さずフェアに扱います。
まず全体像をつかみましょう。障害者雇用の求人にたどり着くルートは、ざっくり次の5つです。
「数が多いな」と感じたかもしれません。でも安心してください。全部をフル活用する必要はありません。後半で「結局どこから始めればいいか」をはっきりさせます。
まずはそれぞれがどういうものか、向いている人とあわせて見ていきます。
細かい解説の前に、全体を一覧で見てしまいましょう。あなたの今の状況に近い行を探してみてください。
探し方 | メリット | デメリット | 向いている人 |
|---|---|---|---|
障害者専門エージェント | 非公開求人が多い/配慮の交渉を代行/面接対策・書類添削が手厚い/無料 | 担当者との相性に左右される/紹介がない地域・職種もある | 効率よく探したい人・配慮を伝えるのが苦手な人 |
障害者向け求人サイト | 自分のペースで検索できる/求人数を一望できる/登録が手軽 | 応募から交渉まで自力/書類・面接は一人で準備 | 自分で進めたい人・まず相場を知りたい人 |
ハローワーク | 地元中小の求人が豊富/専門援助部門の相談員が伴走/無料 | 求人の質にばらつき/好条件・キャリアアップ求人は少なめ | 地元で働きたい人・初めて就職する人 |
就労移行支援 経由 | 訓練でスキル・生活リズムを整えられる/定着支援つき | 通所に半年〜2年かかる/すぐ働きたい人には不向き | ブランクが長い人・働く準備から始めたい人 |
一般エージェント | 求人の母数が圧倒的/職種の幅が広い | 障害理解にばらつき/障害者雇用枠は少なめ | スキルがある人・職種を広く見たい人 |
この表だけでも、なんとなく方向性が見えてきたのではないでしょうか。ここからは1つずつ、僕の視点も交えて掘り下げます。
障害者雇用に特化した転職エージェントは、登録すると専任のアドバイザーがつき、求人紹介から書類添削、面接対策、そして企業との配慮の交渉まで代行してくれるサービスです。利用はすべて無料です(エージェントは採用が決まった企業から報酬を受け取る仕組みのため)。
発達障害のある人にとって、僕がいちばん価値を感じるのはここです。「自分の特性をどう伝えればいいか分からない」「配慮をお願いしたいけど、言い方を間違えてワガママだと思われたら怖い」——この悩み、すごくよくわかります。エージェントは、こちらの特性を整理したうえで、企業に伝わる言葉に翻訳して交渉してくれます。一人で抱えなくていい、というのは想像以上に楽です。
もう一つの強みが非公開求人です。求人サイトやハローワークには出ていない、条件のいい求人がエージェント経由でだけ流れてくることがあります。企業からすると「お金を払ってでも、ちゃんと定着してくれる人を採りたい」という本気度の高い案件が集まりやすい、という構造があるんですね。
正直にデメリットも書きます。担当アドバイザーとの相性はあります。発達障害への理解が浅い担当に当たると、話が噛み合わずストレスになることも。これは「合わなければ担当変更を申し出る」「2〜3社に登録して比較する」で十分に回避できます。1社だけで判断しないのがコツです。
求人を探し始めたばかりで「特性の伝え方からして自信がない」という方は、まず無料相談で話を聞いてもらうところから始めると、頭の中が整理されます。
各エージェントの特徴をもっと詳しく比べたい方は、発達障害向け転職エージェント7社比較|ADHD・ASD対応【2026年版】で社ごとの強みを整理しています。あわせて読んでみてください。
求人サイトは、自分で検索して求人を見つけ、自分で応募するスタイルです。エージェントのように担当者はつかず、すべて自分のペースで進められます。
ADHDの僕としては、この「自分のペースで」というのが、合う人と合わない人にきっぱり分かれると思っています。誰かとやり取りするのが負担に感じる人、まずは黙って相場や条件をざっと眺めたい人には、求人サイトはストレスが少なくて快適です。在宅可・時短可といった条件で絞り込めば、世の中にどんな求人があるのかの肌感もつかめます。
一方で、書類作成も面接準備も配慮の交渉も、全部一人でやることになります。ここが落とし穴で、発達障害のある人は「やることが多くて優先順位がつけられず、結局応募できないまま時間だけ過ぎる」というパターンに陥りやすい。僕自身、求人サイトのお気に入りに10件ためこんだまま1ヶ月放置した、なんてことが何度もありました。
なので個人的なおすすめは、求人サイトを「情報収集の場」として割り切る使い方です。相場観をつかむのに使い、いざ応募・交渉という段になったらエージェントの力を借りる。役割分担をすると、両方のいいとこ取りができます。
ここまで読んで、「自分一人で全部進めるのは無理かも」と思い当たる節はありませんか。もしそうなら、無理に一人で抱えこまなくて大丈夫です。
ハローワークには、障害のある人専用の専門援助部門という窓口があります。ここでは障害者雇用の求人紹介はもちろん、特性に合わせた職業相談、職業訓練校の案内、希望すれば面接に職員が同行してくれることもあります。すべて無料です。
利用の流れはこうです。まずハローワークで障害者求職登録をして「求職者番号」を発行してもらいます。インターネットや窓口で障害者専用求人を探し、応募したい求人が決まったら、ハローワークから「紹介状」を受け取って応募する、という手順です(手帳をお持ちでない発達障害の方も、医師の診断などで利用できる場合があります。窓口で相談してみてください)。
ハローワークの強みは、なんといっても地元の中小企業の求人が豊富なこと。エージェントが扱わないような、地域密着の求人に出会えます。「住んでいる地域で、通える範囲で働きたい」という人には心強い選択肢です。相談員が定着まで伴走してくれるので、初めて就職する人やブランクがある人にも向いています。
ただ、フェアに弱点も書きます。求人の質にはばらつきがあり、好条件の求人やキャリアアップにつながる求人は、エージェントに比べると少なめです。企業側が無料で掲載できるぶん、玉石混交になりやすい、という構造的な事情があります。窓口の混雑や、相談員によって対応の質が変わる点も、当事者としては気になるところでした。
結論として、ハローワークはエージェントと併用してこそ真価を発揮すると思います。地元求人はハローワーク、好条件の非公開求人はエージェント、というふうに役割を分けると取りこぼしが減ります。
「いきなり求人に応募する前に、まず働く準備を整えたい」——そういう段階の人には、就労移行支援という選択肢があります。
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある人が、ビジネスマナーやPCスキルなどの訓練を受けながら、生活リズムを整え、就職活動のサポートと就職後の定着支援まで受けられる福祉サービスです。事業所はハローワークや企業と連携しているので、訓練の延長線上で求人を紹介してもらえます。
僕がこの選択肢をフェアに評価したいのは、「求人を探す」より手前のステップにいる人がたしかにいるからです。休職や離職が続いて生活リズムが崩れている、長いブランクで自信を失っている、自分の特性とどう付き合うかまだ整理できていない。そういう状態でいきなり転職活動を始めても、消耗するだけのことがあります。先に土台を整えたほうが、結果的に近道になる場合があるんです。
デメリットははっきりしています。通所には半年〜2年ほどかかるので、「来月から働きたい」という人には向きません。すぐ働ける状態の人にとっては、回り道に感じられるはずです。
就労移行支援の仕組みや事業所の選び方は、就労移行支援とは?発達障害者が利用するメリットとおすすめ事業所の選び方で詳しく解説しています。「自分はまず準備からかも」と感じた方は、こちらを読んでから判断するといいと思います。
最後に、一般(総合型)の転職エージェントです。doda や大手エージェントの中には、障害者雇用専門の部門を持っているところもあります。
一般エージェントの最大の魅力は、求人の母数が圧倒的に多いことと、職種の幅が広いこと。とくにIT・専門職など、すでにスキルがある人は、障害者雇用枠にこだわらず一般枠も含めて選択肢を広げられます。僕はエンジニアとして一般枠で働いていますが、スキルがある領域なら一般枠のほうが年収レンジが上がりやすいのは事実です。
ただ注意点があります。一般エージェントは障害者雇用に特化しているわけではないので、担当者の障害理解にばらつきがあります。配慮の交渉も、専門エージェントほどスムーズにはいかないことが多い。そして当然ながら、障害者雇用枠の求人数そのものは専門エージェントに比べて少なめです。
なので使い分けの目安としては、「専門エージェントで配慮込みの障害者雇用を探しつつ、スキルに自信があれば一般エージェントで一般枠も視野に入れる」という二段構えがおすすめです。そもそも障害者雇用と一般雇用のどちらで働くか自体を迷っている方は、障害者雇用とは?一般雇用との違い|発達障害者が知るべきメリット・デメリットを徹底解説を先に読むと判断材料がそろいます。
5つの経路を見てきました。そのうえで、「どこから手をつければいいか分からない」という人に僕が勧めたいのは、まず障害者専門の転職エージェントに登録することです。
理由は3つあります。
1つ目は非公開求人にアクセスできること。求人サイトやハローワークには出てこない、定着前提の本気の求人に出会える可能性が上がります。
2つ目は配慮の交渉を代行してくれること。発達障害のある人が最もつまずきやすい「特性をどう伝えるか」を、プロが企業に伝わる言葉にして交渉してくれます。これは一人で求人サイトを使っていては得られない価値です。
3つ目は書類添削・面接対策まで一気通貫でサポートしてくれること。やることが多くて優先順位をつけられない、という発達障害あるあるを、伴走によってカバーしてくれます。
念のため補足すると、「エージェントが最強だから他は不要」と言いたいわけではありません。ハローワークの地元求人、求人サイトの相場観、就労移行支援の準備期間には、それぞれにしかない価値があります。ただ、最初の一歩として最も効率がいいのがエージェントだ、という話です。エージェントを軸にしつつ、足りない部分を他の経路で補う——これが取りこぼしの少ないやり方だと思っています。
2024年4月からは、企業に対して障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました(改正障害者差別解消法。雇用の場面では障害者雇用促進法でも事業主に義務づけられています)。法定雇用率も、2024年4月に2.5%へ引き上げられ、2026年7月からは2.7%になります。あわせて対象企業の範囲も、従業員40人以上(2024年4月時点)から37.5人以上(2026年7月から)へ広がります。つまり企業側が障害のある人を採用する必要性は年々高まっているということ。求人を探すあなたにとっては、追い風が吹いているタイミングです。
ここまで読んでも「そうは言っても、自分の条件に合う求人が全然ない」と感じる方もいると思います。実際、発達障害のある人が「求人が見つからない」と行き詰まるのには、わりとはっきりした原因があります。3つの打開策を紹介します。
求人サイトだけ、ハローワークだけ、と1つの経路に絞ると、その経路が扱う求人しか見えません。エージェント、求人サイト、ハローワークはそれぞれ持っている求人が違うので、2〜3経路を併用するだけで、目に入る求人の総数が一気に増えます。「見つからない」の正体が、実は「探す場所が狭かっただけ」というのはよくある話です。
「在宅で、年収もそこそこで、人間関係も穏やかで、残業なしで…」と条件を全部盛りにすると、当然ながら該当求人はゼロに近づきます。条件を「絶対に譲れないもの」「できれば欲しいもの」「妥協できるもの」の3段階に分けてみてください。譲れない軸が1〜2個に絞れると、急に選択肢が見えてきます。この優先順位づけ自体、エージェントに相談すると客観的に整理してもらえます。
地方在住で「通える範囲に求人がない」という方は、在宅・フルリモート可の求人に絞って探すと、一気に全国が対象になります。僕自身、地方からフルリモートで働いていますが、これは数年前なら考えられなかった働き方です。リモート求人は障害者雇用でも年々増えていて、通勤の負担や対人ストレスを減らせる発達障害の人とは相性がいい。面談時に「在宅可の求人を中心に見たい」と最初に伝えておくと、地方在住のハンデを大きく減らせます。
条件の整理から在宅求人の紹介まで、一人で抱えこまずにプロと一緒に進めたい方は、無料相談で頭の中を棚卸ししてもらうのが近道です。
なお、求人を探すうえで障害者手帳を取るべきか迷っている方は、障害者手帳のメリット・デメリット|発達障害で取得を迷っている方への完全ガイドも判断の参考になります。手帳の有無で応募できる求人の幅が変わるためです。
ここまで5つの経路を比較してきました。最後に、求人探しの最初の一歩としておすすめの障害者専門エージェントを2社、整理しておきます。
「自分に合う求人がどこにあるか分からない」「特性の伝え方に自信がない」——そんな段階の人ほど、一人で求人サイトを眺め続けるより、プロに相談したほうが早く前に進めます。どちらも無料で、相談だけでも利用できます。
サービス | 特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
障害者雇用の求人数が業界最大級。発達障害専門のアドバイザーが在籍 | 求人の選択肢を広げたい人・まず幅広く見たい人 | |
障害者転職支援の実績No.1。定着支援まで手厚い | じっくりサポートを受けたい人・長く働きたい人 |
どちらも無料で利用できます。1社に絞らず両方に登録して、紹介される求人や担当者との相性を比べてみるのがおすすめです。合わなければ使わなければいいだけなので、気軽に話を聞いてみてください。
障害者雇用の求人を探す経路は、エージェント・求人サイト・ハローワーク・就労移行支援・一般エージェントの5つ。それぞれに得意分野があり、「どれが正解」ではなく「どう組み合わせるか」が大事だと、僕は思っています。
そのうえで、発達障害のある人が最初の一歩を踏み出すなら、配慮の交渉と非公開求人の面で障害者専門エージェントから始めるのが効率的です。ハローワークで地元求人を、求人サイトで相場観を補いながら、エージェントを軸に進める。これが取りこぼしの少ないやり方です。
そして「見つからない」と感じたら、経路を併用する・条件に優先順位をつける・在宅可で範囲を広げる。この3つを試してみてください。
法改正で企業側の採用ニーズは高まっています。動いた人から選択肢が増えていく、というのは僕自身が転職で何度も実感してきたことです。完璧に準備してから動こうとせず、まずは無料相談で頭の中を整理するところから、気軽に始めてみてください。
この記事を書いた人 ADHDと診断されたフロントエンドエンジニアです。低学歴・地方在住・転職を何度も経験しながら、いまはフルリモートで働いています。同じ特性で悩む人が、自分に合った働き方にたどり着けるよう、当事者目線で情報を発信しています。
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収800万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。
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