ADHDの片付け・デスク整理術|散らからない仕組みの作り方

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ADHDの片付け・デスク整理術|散らからない仕組みの作り方
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「気づくとデスクが書類とマグカップで埋まっている」「片付けても3日でリバウンドする」「部屋の床が見えなくなって、もうどこから手をつければいいのかわからない」

ADHD(注意欠如・多動症)がある方にとって、片付けは一生つきまとう困りごとです。私自身ADHDと診断されたエンジニアですが、整理整頓に関してはずっと劣等生でした。何度「ちゃんと片付けよう」と決意しても、気合いだけでは何も変わらなかったんです。

でも、ある時から考え方を変えました。「片付けられる人間になる」のをやめて、「片付けなくても散らからない仕組み」を作ることにしたんです。そうしたら、驚くほど楽になりました。

この記事では、ADHDで片付けが苦手な原因をはっきりさせたうえで、デスク周り・書類・部屋を意志に頼らず散らからなくする具体的な仕組みを紹介します。読み終わるころには、「自分にもできそう」と思える方法が一つは見つかるはずです。

なぜADHDは片付けが苦手なのか(結論)

ADHDで片付けられないのは、だらしないからでも、やる気がないからでもありません。計画を立てて行動に移す「実行機能」、情報を一時的に覚えておく「ワーキングメモリ」、そして退屈な作業に取り組みにくい「報酬系」という、脳の3つの特性が重なって起きている困りごとです。だからこそ、根性で直そうとするより、特性に合った「仕組み」で環境そのものを散らからなくするほうが、はるかに効果があります。

発達障害の特性については、国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトでも、ADHD(注意欠如・多動症)が実行機能などの脳機能の偏りと関係していることが解説されています。まずは「自分が悪いわけじゃない」という前提から始めましょう。

ADHDが片付けられない3つの理由

「どうして自分はこんなに片付けられないんだろう」と責めてしまう前に、脳の仕組みを知っておくと気持ちが少し軽くなります。

1. 実行機能の弱さ(手順を組み立てられない)

実行機能とは、「何から手をつけるか決める」「順番に作業する」「最後までやり遂げる」といった、行動を段取りする脳の司令塔のような働きです。ADHDの方はここが弱い傾向があり、散らかった部屋を前にすると、どこから着手すればいいのかわからずフリーズしてしまいます。

正直に言うと、私も引っ越しのときに段ボールを前にして30分くらい固まっていたことがあります。やる気がないわけではなく、「最初の一手」が決められないんです。片付けは無数の小さな判断の連続なので、実行機能が弱いと一気に消耗します。

2. ワーキングメモリの弱さ(戻す場所を覚えていられない)

ワーキングメモリは、情報を一時的に保持しながら作業する脳の「作業台」です。ここが狭いと、「ハサミは引き出しの右」と決めても、使った瞬間に置き場所が頭から消えてしまいます。結果、出しっぱなしになり、また探し物が増えるという悪循環に陥ります。

「収納ルールを自分で決めたのに、3日後にはそのルール自体を忘れている。だから物が定位置に戻らないんです」という声は、当事者からよく聞きます。

ワーキングメモリと仕事の関係については、ADHDのワーキングメモリが弱い人の仕事術でもう少し掘り下げているので、思い当たる方は合わせて読んでみてください。

3. 報酬系の特性(退屈な作業に取りかかれない)

ADHDの脳は、すぐに得られる刺激や達成感を求めやすい特性があります。片付けは地味で、終わってもすぐに大きな報酬が得られるわけではありません。だから「あとでやろう」と先延ばしになり、物がどんどん溜まっていきます。

この「わかっているのに動けない」感覚は、片付けに限らずあらゆる場面で起きます。先延ばし全般への対処はADHDの先延ばし癖を克服する方法で詳しく解説しています。

「片付けられない」を責めても無駄な理由

ここまで読んで、「なんだか言い訳がましいな」と感じた方もいるかもしれません。でも、これは言い訳のための話ではなく、戦略を立てるための前提です。

私は長いあいだ、「次こそはちゃんとする」と意志の力で片付けようとしていました。結果はいつも同じ。数日はきれいでも、すぐ元通り。そのたびに「自分はダメな人間だ」と落ち込んでいました。

問題は、片付けを「人格」や「努力」の問題として扱っていたことです。脳の特性が原因なのに、性格を変えようとしていたわけですから、うまくいくはずがありません。

考え方を変えたのは、こんなふうに整理してからでした。

古い発想

新しい発想

片付けられる人間になる

片付けなくても散らからない環境を作る

意志で頑張る

仕組みで自動化する

完璧に整える

8割の状態を維持する

物の住所を覚える

覚えなくても戻せる設計にする

ポイントは、自分の脳を変えようとしないこと。変えるのは環境のほうです。実行機能やワーキングメモリの弱さを、収納の設計でカバーしてあげる。そう割り切ったとき、片付けはぐっと楽になりました。

では、具体的にどうすればいいのか。まずは一番効果が出やすいデスク周りから見ていきましょう。

デスク周りを散らからなくする仕組み7つ

仕事のパフォーマンスに直結するのがデスクです。私の経験上、デスクが散らかっていると集中力が削られ、探し物でミスも増えます。逆に言えば、ここを整えるだけで仕事のミスがかなり減ります。叱られることが多くて悩んでいる方は、仕事のミスが多くて叱られる…ADHD・ASDの対策チェックリストも役立つはずです。

ここでは、意志に頼らず散らからなくする7つの仕組みを紹介します。

1. 物を減らす(収納より先にやる)

片付けの相談を受けると、みんな収納グッズを買おうとします。でも順番が逆です。ADHDの場合、管理する物が多いほど破綻しやすいので、まず「減らす」が最優先になります。

デスクの上に出ているものを一度すべてどかして、「今週使ったもの」だけ戻してみてください。それ以外は引き出しか別の場所へ。物理的に物が少なければ、そもそも散らかりようがありません。

2. 定位置を決める(1物1住所)

物が散らかる最大の原因は、「戻す場所が決まっていない」ことです。ペン、スマホ、充電ケーブル、それぞれに「住所」を一つだけ決めます。複数の置き場所を許すと、ワーキングメモリの弱さで必ず混乱します。

定位置管理は探し物全般に効く基本技術です。鍵や財布をいつも探している方は、ADHDの忘れ物対策完全ガイドで定位置のコツをさらに詳しく紹介しています。

3. 「1アクション収納」にする

ADHDにとって、フタを開ける・引き出しを引く・ケースから出すといった「ひと手間」は、片付けをやめる十分な理由になります。だから収納は「1アクションで戻せる」設計にします。

  • 書類は引き出しではなく、卓上の立てかけボックスに「放り込むだけ」
  • ペンはペン立てに「挿すだけ」
  • 充電ケーブルはクリップで「引っかけるだけ」

戻すまでの動作が少ないほど、戻る確率が上がります。これは精神論ではなく、行動のハードルを下げる物理設計です。

4. 見える化する(隠さない収納)

一般的な整理術では「物は隠してスッキリ」と言われますが、ADHDには逆効果なことがあります。引き出しの奥にしまうと、存在ごと忘れて二重に買ってしまうからです。

私はあえて、よく使うものは見える場所に置いています。透明ケースを使う、ラベルを貼る、オープン棚にするなど、「見えれば思い出せる」状態を作るのがコツです。

5. 「とりあえずボックス」を一つ用意する

どうしても定位置に戻せない物は出てきます。そこで、何でも放り込んでいい「とりあえずボックス」を一つだけ用意します。判断に迷ったものは全部ここへ。

これがあると、「散らかす」のではなく「一時保管する」に変わります。週に一度だけ中身を見直せば十分です。完璧を目指さず、散らかりを一箇所に集約するイメージです。

6. デスクは「殺風景」を目指す

これは完全に私の実感ですが、デスクが殺風景なほど集中できます。視界に物が多いと、ADHDの脳はそのひとつひとつに気を取られ、目の前の作業から注意がそれてしまうんです。

だから私のデスクには、作業に必要なもの以外ほとんど置いていません。観葉植物も写真立てもなし。寂しいくらいですが、そのほうが仕事がはかどります。集中環境づくりの一環として、ぜひ試してみてください。

7. 「帰る前1分リセット」を習慣の最後にくっつける

最後は、散らかりを溜めないための小さな習慣です。退勤前や作業終わりに、1分だけデスクを元の状態に戻します。

コツは、新しく習慣を作ろうとしないこと。「PCを閉じる」という既にある行動の直後にくっつけると、忘れにくくなります。1分なら報酬系のハードルも低く、続けやすいです。

ここまでがデスクの仕組みです。次は、ADHDにとって最大の難所である「紙の書類」を攻略しましょう。

書類・紙の管理術|ADHDに紙は鬼門

正直に告白すると、私が一番苦しんだのは紙の書類です。郵便物、領収書、契約書、子どもの学校のプリント。紙は放っておくと無限に増え、しかも「あとで読もう」と思った瞬間に存在を忘れます。ADHDにとって紙はまさに鬼門です。

紙が厄介なのは、こんな理由からです。

  • 一枚一枚に「読む・捨てる・保管する」の判断が必要で、実行機能を消耗する
  • 平積みにすると下のほうの存在を完全に忘れる(ワーキングメモリの弱さ)
  • 「重要かもしれない」と思うと捨てられず、どんどん溜まる

これを解決する考え方は、「紙のまま管理しようとしない」ことです。

入ってきた紙は「3秒で行き先を決める」

郵便物を受け取ったら、その場で立ったまま仕分けます。座って「あとで」にした瞬間、それは永遠に溜まっていきます。

種類

行き先

明らかに不要(チラシ・封筒)

その場でゴミ箱

確認だけ必要

スマホで撮影して即廃棄

保管が必要(契約書など)

1つの保管ボックスへ直行

判断に迷ったら「とりあえず撮影して捨てる」を選びます。デジタル化すれば、物理的な紙は減り、検索もできます。

スキャン・撮影でデジタル化する

重要書類はスマホで撮影してクラウドに保存すれば、紙そのものは大半を処分できます。私は領収書や保証書をすべて撮影し、紙は最小限しか残していません。「物理的に物が減る」のがADHDにとって何より大事です。

「保留トレイ」を一つだけ作る

どうしてもその場で判断できない紙は、一つの「保留トレイ」に入れます。これがデスクで紹介した「とりあえずボックス」の紙版です。週末に5分だけ中身を処理すると決めておけば、紙が部屋中に散らばるのを防げます。

紙の管理は、書類が多い事務系の仕事で特につまずきやすいポイントです。事務職の向き不向きで悩んでいる方は、ADHDで事務職は向いてない?も参考になります。

部屋全体に広げる片付けの仕組み

デスクと書類の仕組みができたら、同じ発想を部屋全体に広げていきます。やることは変わりません。「減らす・定位置・1アクション・見える化」の4原則をそのまま当てはめるだけです。

一度に全部やろうとしない

部屋全体を一日で片付けようとすると、実行機能が悲鳴を上げて挫折します。私のおすすめは「1日1エリア」。今日は玄関だけ、明日は洗面台だけ、と範囲を極端に小さく区切ります。

範囲を狭くするほど、「最初の一手」が決めやすくなり、達成感も得られます。報酬系の特性を逆手に取って、小さな達成感を積み重ねるイメージです。

「床に物を置かない」を唯一のルールにする

ルールを増やすと、どれも守れなくなります。だから部屋全体では「床に物を置かない」を唯一のルールにすると決めると、管理が楽になります。

床が見えていれば、部屋は散らかって見えません。逆に床に物が溜まり始めたら、それが「リセットのサイン」です。シンプルなルール一つのほうが、ADHDには続けやすいです。

出しやすく戻しやすい収納にする

部屋の収納も、デスクと同じく「1アクション」を意識します。クローゼットの奥にしまう服より、ハンガーにかけるだけの服のほうが散らかりません。引き出しに分類してしまうより、カゴにざっくり放り込むほうが続きます。

きれいに分類することより、「戻す動作が少ないこと」を優先する。これがリバウンドしない収納の鉄則です。

リバウンドを防ぐ「片付けないで散らからない」発想

最後に、一番伝えたいことを書きます。それは、「片付けを頑張らない」ことです。

これまで紹介してきた仕組みは、すべて「片付けという作業をしなくても散らからない状態」を作るためのものです。意志で片付け続けるのは、ADHDの脳にとって持続不可能だと、私は身をもって学びました。

リバウンドする人は、たいてい「気合いの入った大掃除」をして、その状態を意志で維持しようとします。でもそれは、毎日マラソンを走り続けるようなもので、いつか必ず力尽きます。

そうではなく、

  • 物を減らして、そもそも散らかる量を抑える
  • 1アクションで戻せるようにして、戻す手間を消す
  • 「とりあえずボックス」で散らかりを一箇所に集める
  • 完璧ではなく「8割の状態」を許す

こうした仕組みがあれば、特別な努力をしなくても、自然と散らからない状態が保たれます。私のデスクが今そこそこ片付いているのは、私が真面目になったからではなく、散らかしようがない環境を作ったからです。

それでも調子が悪い日は散らかります。でも、それでいいんです。仕組みさえあれば、リセットもすぐにできます。大事なのは、散らかった自分を責めないこと。あなたがだらしないのではなく、脳の特性に環境が合っていなかっただけです。

なお、こうした片付けや整理の悩みが「仕事が回らない」「職場で叱られてつらい」というレベルになっている場合は、環境そのものを見直す選択肢もあります。発達障害と仕事の困りごとを幅広くまとめた発達障害とキャリアの総合ガイドでは、働き方の選び方まで含めて整理しているので、根本から考えたい方はそちらも覗いてみてください。

まとめ

ADHDで片付けが苦手なのは、実行機能・ワーキングメモリ・報酬系という脳の特性が重なって起きる困りごとであり、意志や性格の問題ではありません。だからこそ、自分を変えようとするのではなく、環境を「散らからない仕組み」に変えるのが近道です。

最後に、今日から試せるポイントをおさらいします。

  • まず物を減らす(収納グッズを買うのは後)
  • 1物1住所で定位置を決める
  • 1アクションで戻せる収納にする
  • 紙は「3秒で行き先を決める」「撮影して捨てる」
  • 部屋は「床に物を置かない」だけをルールにする
  • 完璧を目指さず、8割の状態を維持する

全部を一度にやる必要はありません。まずはデスクの上を片付ける、ではなく「物を減らす」一つから始めてみてください。散らからない環境は、あなたの集中力にも、毎日の気持ちの余裕にも、きっと効いてくるはずです。

発達障害の特性や支援については、発達障害情報・支援センターなどの公的な情報も参考になります。

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ご注意

この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。

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この記事を書いた人

りく

  • ADHD当事者
  • 転職5回経験
  • 現役エンジニア
  • フルリモート勤務

社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収1200万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。

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