障害者雇用と一般雇用どっち?発達障害の僕が決断に使った5つの判断軸

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障害者雇用と一般雇用どっち?発達障害の僕が決断に使った5つの判断軸
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「障害者雇用と一般雇用、結局どっちを選べばいいんだろう」

発達障害(ADHD/注意欠如・多動症、ASD/自閉スペクトラム症)の診断を受けたあと、転職を考え始めた人がほぼ全員ぶつかる分かれ道です。給料が下がるのは嫌だ、でも今のまま一般雇用で消耗し続けるのもつらい。調べれば調べるほど「向いている人・向いていない人」みたいな抽象論ばかり出てきて、肝心の「で、自分はどっちなの?」が一向に決まらない。

正直に書きます。僕はADHDと診断されたフロントエンドエンジニアで、地方でフルリモート、今は年収1200万です。そして僕自身は障害者雇用を選びませんでした。手帳は取りましたが、開示せず一般雇用(実質クローズ)で働き続けています。だからといって「一般雇用のほうがいい」とは1ミリも思っていません。僕がこの選択でうまくいっているのは、運と環境とスキルがたまたま噛み合っただけで、同じやり方を全員に勧めるのは無責任だと感じています。

この記事は「障害者雇用とは何か」を一から説明する記事ではありません。そこは別の記事に譲ります。ここでやるのは、あなたが自分のケースで「どっち」を決めるための判断作業です。

読むとわかること:

  • 障害者雇用(オープン就労)と一般雇用(クローズ就労)を分ける5つの判断軸
  • 「給料が安い」「一般雇用はきつい」という噂のデータ上の真実
  • 30秒でだいたいの方向が出る判断フローチャート
  • タイプ別の現実的な結論と、それぞれに合った相談先

「障害者雇用 一般雇用 どっち」で迷うのは、比べる軸がバラバラだから

最初に、迷子になる原因をはっきりさせておきます。多くの人が決められないのは、頭の中で「給料」「ラクさ」「将来性」「世間体」みたいに違う物差しを同時に動かしてしまうからです。給料で考えれば一般雇用、安定で考えれば障害者雇用、と毎回結論が逆になる。これでは決まりません。

なので、この記事では物差しを5本に固定します。

  1. 合理的配慮を受けられるか(働きやすさ)
  2. 給料・年収(お金)
  3. 職場定着率(続けられるか)
  4. キャリア・職種の幅(伸びしろ)
  5. 手帳が必要かどうか(前提条件)

このうち、あなたにとって今いちばん重いのはどれか。それが決まれば、答えは自動的に絞られていきます。

なお、用語を整理しておきます。障害者雇用=オープン就労(障害を企業に開示して、配慮を受けながら障害者雇用枠で働く)、一般雇用=クローズ就労(障害を開示せず一般枠で働く)という対応で進めます。厳密には「一般枠で開示して働く(セミオープン)」もありますが、まずはシンプルに二択で考えます。

制度そのもの(障害者雇用枠の仕組み、企業側の義務など)をきちんと押さえたい人は、先に障害者雇用とは?一般雇用との違い|発達障害者が知るべきメリット・デメリットを徹底解説を読んでから戻ってくると、この先の判断がスッと入ってくると思います。

判断軸1:合理的配慮を受けられるか

ここが両者の本質的な違いです。

障害者雇用では、入社時点で障害をオープンにし、企業に合理的配慮を求められます。合理的配慮は2024年4月の障害者差別解消法改正で民間事業者にも提供が義務化されました(出典: 厚生労働省 障害者雇用対策)。たとえば「指示は口頭ではなく文字で」「静かな席にしてほしい」「通院日に休みやすくしてほしい」といった調整を、堂々と交渉のテーブルに乗せられます。

一般雇用(クローズ)でも、法律上は配慮の対象になり得ます。ただし障害を開示していなければ、会社はそもそも配慮の必要性に気づけません。配慮交渉のスタートラインに立つこと自体が難しい、というのが現実です。

僕がクローズでやってこられたのは、フルリモートという環境が「最初から備わっている配慮」みたいに機能していたからです。電話が鳴らない、雑談に巻き込まれない、自分のペースで作業できる。これがオフィス出社だったら、配慮なしのクローズはかなりきつかったと思います。つまり「配慮なしで成立する環境を自力で確保できているか」が、この軸の分かれ目になります。

合理的配慮を具体的にどう求めるかは、職場での合理的配慮の求め方完全ガイドに手順をまとめています。オープンを検討しているなら、面接前に一度目を通しておくと交渉の解像度が上がります。

判断軸2:給料・年収のリアル ——「障害者雇用は安い」は半分本当で半分ミスリード

多くの人が一番気にするのがお金です。ここはデータで見ます。

厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査によると、発達障害者の平均月給はおよそ13万円、週30時間以上のフルタイム勤務に絞っても約15.5万円でした(出典: 厚生労働省 障害者雇用実態調査)。数字だけ見ると、確かに低い。

でも、この「平均」をそのまま鵜呑みにするのは危険です。理由はシンプルで、

  • 障害者雇用には短時間勤務・契約社員・パートが多く含まれる(同じ令和5年度調査では発達障害者の賃金支払形態は時給制44.2%・月給制52.3%)
  • 一般雇用の平均は正社員フルタイムが中心
  • そもそも比べている母集団の条件が違う

つまり「障害者雇用だから安い」のではなく、「短時間・非正規が多いから平均が下がっている」というのが実態に近い。フルタイム正社員・専門職(特にIT)での障害者雇用なら、年収400〜500万円台の求人が見られることもあります。

一方、クローズ(一般雇用)は給料そのものは一般社員と同じです。ここだけ見ればクローズが有利に見えます。ただし——後で出てくる「定着率」の話とセットで考えないと、判断を間違えます。給料が高くても続かなければ、生涯年収はむしろ下がるからです。

給料の内訳や、障害者雇用のまま収入を上げる具体策は障害者雇用の給料は低い?平均年収データと発達障害者が収入を上げる5つの方法に詳しく書いたので、お金が最優先という人はこちらも併読してください。

判断軸3:定着率 ——ここが一番見落とされている

ここまで読んで、給料だけで一般雇用に傾きかけた人に、いったん立ち止まってほしいデータがあります。

JEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)の調査研究報告書No.137は、就職経路別の1年後職場定着率を出しています(出典: JEED 障害者の就業状況等に関する調査研究 No.137)。

就職の仕方

1年後の職場定着率

障害者求人(オープン就労)

70.4%

一般求人・障害を開示

49.9%

一般求人・障害を非開示(クローズ)

30.8%

クローズ就労の1年後定着率は約3割。10人のうち7人は1年以内に辞めている計算です。これは「クローズだとダメ」という話ではなく、配慮のない環境で特性を隠して働き続けることの難しさを表していると僕は読んでいます。

発達障害のある人が一般雇用で消耗していく典型パターンが、過剰適応です。苦手をバレないように人一倍がんばって、表面上は適応しているように見えて、内側ですり減っていく。気づいたときには二次障害(うつ・不安障害など)の入り口にいる。これは脅しではなく、データと臨床の両方で繰り返し指摘されていることです。心当たりがある人は発達障害の二次障害を防ぐ方法|うつ・不安障害になる前に知っておきたい予防と対処法を、無理する前に読んでおいてください。

正直に言うと、僕がクローズでなんとかなっているのは「定着率3割」の例外側にいるだけかもしれません。フルリモートで配慮が要らない環境を引けたこと、エンジニアという成果が数字で見える職種だったこと。この2つが欠けていたら、僕も7割の側にいた可能性は十分あると思っています。

ここまでで「給料はクローズ有利、続けやすさはオープン有利」という、きれいなトレードオフが見えてきました。では、長期で見たときにどちらが得か。それは次の軸で決まります。

判断軸4:キャリア・職種の幅 ——伸びしろをどう見るか

一般雇用の最大の強みは、職種と伸びしろの広さです。専門職も総合職も選べて、経験を積めば任される仕事も給料も上がっていく。エンジニア・デザイナー・経理・専門職のように、特性が強みに直結する職種に就けるなら、一般雇用の天井は高い。

障害者雇用は、ここが正直まだ弱い。事務補助や軽作業中心の求人が多く、明確なキャリアパスが用意されていない企業も少なくありません。ただし、ここ数年でIT・専門職の障害者枠は確実に増えてきています。僕が転職活動をしていた頃と比べても、エンジニアの障害者求人は明らかに選択肢が増えました。

つまりこの軸の結論は、「あなたが特性を強みにできる専門スキルを持っているか」で割れます。

  • 専門スキルがある → 一般雇用でも障害者雇用でも、待遇の良い求人を狙える(特にIT)
  • これからスキルを身につける段階 → 焦って一般雇用に飛び込むより、土台を作るほうが結果的に近道

エンジニア・IT方面でキャリアを伸ばしたい人はADHD向けIT・エンジニア転職完全ガイド2026に、開示・非開示それぞれの戦い方を整理しています。事務職で続けたい人は発達障害でも事務職で活躍できる|ADHD・ASDの特性を活かす仕事術と職場選びのコツが参考になります。

判断軸5:そもそも手帳が必要か

最後はシンプルな前提条件です。障害者雇用枠で働くには、原則として障害者手帳が要ります。発達障害の場合、ほぼ全員が精神障害者保健福祉手帳を取得することになります。

ここで知っておきたいのが、手帳の申請には初診日から6か月以上経過した時点の診断書が必要だという点です。「来月から障害者雇用で」と思っても、初診から日が浅いと間に合いません。

そしてもう一つ、見落とされがちな事実があります。手帳を取ること=障害者雇用で働くこと、ではありません。 手帳を持っていても、開示するかどうかは自分で選べます。僕がまさにこれで、手帳は「保険」として持ちつつ一般雇用を続けています。いざというとき障害者雇用にすぐ切り替えられる、税控除や割引も受けられる、という発想です。手帳の損得は障害者手帳のメリット・デメリット|発達障害で取得を迷っている方への完全ガイドで両面から書いています。

ここまでの5軸を、頭の中で1枚に並べてみてください。次のフローチャートで、あなたの方向がだいたい出ます。

30秒でわかる判断フローチャート

上から順に「はい / いいえ」で進んでください。あくまで方向性の目安です。

  1. 今、心身の不調が続いている。または二次障害の入り口にいる感覚があるはいなら、給料より「続けられること」を最優先に。障害者雇用(オープン)を本気で検討。まず生活と体調を立て直したいなら就労移行支援も選択肢。 → いいえなら2へ。
  2. 配慮がなくても成立する環境(フルリモート・成果が数字で見える職種など)を、自力で確保できる/しているはいなら、一般雇用(クローズ)でも戦える可能性が高い。ただし定着率3割のデータを忘れずに、無理が来たら即見直す前提で。 → いいえなら3へ。
  3. 特性が強みになる専門スキル(IT・専門職など)がある、または現職でなんとか回せているはいなら、一般雇用継続も十分あり。スキルでさらに伸ばす方向(特にIT転職)が現実的。 → いいえなら、配慮を受けながら安定して働ける障害者雇用か、土台を作る就労移行支援が手堅い。

どのルートに来ても「正解は1つ」ではありません。同じ人でもライフステージで答えは変わります。大事なのは、今の自分の最優先軸に正直になることです。

どっちにも決めきれないとき:第3・第4の選択肢

二択で苦しいなら、間を取る手もあります。

  • 手帳を取って一般雇用を続ける(僕のパターン)。配慮は使わないが、いつでもオープンに切り替えられる「保険」を持つ。
  • 就労移行支援で土台を作ってから決める。体調・生活リズム・自己理解を整えてから、オープンかクローズかを選ぶ。退職後・休職後の再スタートに向いています。
  • 派遣・契約から試す。いきなり正社員でなく、合う働き方を実地で確かめてから本決定する。

「いきなり障害者雇用 vs 一般雇用」で固まる必要はない、ということです。働き方の全体像を俯瞰したい人は発達障害者にとってフルリモートは天国だった件も、選択肢を広げる材料になります。

ここまで読んで、自分がどのタイプか、なんとなく見えてきたでしょうか。最後に、タイプ別に「次に何をすればいいか」を相談先とセットで整理します。

タイプ別おすすめサービス比較

働き方の方向が決まったら、ひとりで求人を探すより、その分野を専門にしている相手に相談したほうが圧倒的に早いです。どのサービスも登録・相談は無料で、無理な勧誘はありません。まずは情報収集のつもりで十分です。

あなたのタイプ

向いている方向

まず相談する相手

心身が限界・配慮が要る・安定重視

障害者雇用(オープン)

dodaチャレンジ / atGP

ITスキルでキャリアを伸ばしたい(経験者)

一般雇用(クローズ)でIT転職

明光キャリアパートナーズ / @PRO人

働く準備から整えたい・体調を立て直したい

就労移行支援で土台づくり

ミラトレ(汎用大手)/ Neuro Dive(AI・IT特化)

障害者雇用(オープン)を検討するなら

配慮を受けながら安定して働きたいなら、発達障害の支援実績がある障害者雇用専門のエージェントに相談するのが近道です。求人数で選択肢を広げたいならdodaチャレンジ、配慮事項の言語化や面接対策まで手厚く伴走してほしいならatGP。担当者との相性もあるので、2社並行で登録して比べるのが結果的にいちばん効率的でした。

各エージェントの詳しい違いは発達障害向け転職エージェント7社比較【2026年版】で具体的に解説しています。

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一般雇用(クローズ)でITキャリアを伸ばすなら

すでにエンジニア・IT職で、特性を強みに年収を上げたい人。ここは当ブログがいちばん力を入れている領域です。リモート可・年収レンジの高い求人を狙うなら明光キャリアパートナーズ、一般枠のIT転職を幅広く見たいなら@PRO人が使いやすいです。IT以外の職種で一般雇用を続けたい人は、発達障害向け転職エージェント7社比較で一般枠も含めて相性の良いサービスを確認してみてください。

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まずは土台から整えたいなら

「いきなり転職は不安」「体調と生活リズムから立て直したい」という人は、就労移行支援が手堅い。訓練と就職支援を一体で受けられて、オープンかクローズかも支援員と相談しながら決められます。実績重視なら大手のミラトレ、AI・データ・IT方面を狙うならNeuro Dive。仕組みの全体像は就労移行支援とは?発達障害者が利用するメリットとおすすめ事業所の選び方にまとめています。

どのサービスも完全無料です。「相談したら申し込まないといけない」ということはありません。まず話を聞いて、自分の方向を確かめるくらいで十分だと思います。

まとめ|「どっち」より「今の自分の最優先軸」で決める

最後に整理します。

  • 障害者雇用と一般雇用で迷うのは、給料・配慮・続けやすさ・キャリア・手帳という違う軸を同時に動かしているから
  • 給料:クローズ(一般雇用)が有利。ただし「障害者雇用=安い」は短時間・非正規が多いことによる見かけの差が大きい
  • 定着率:オープン(障害者求人)70.4%、クローズ(一般求人・非開示)30.8%とJEED調査で大差。続けやすさはオープンが上
  • キャリア:専門スキル(特にIT)があれば一般雇用の天井は高い。なければ障害者雇用や就労移行で土台づくりが手堅い
  • 手帳:取っても開示は自分で選べる。「保険」として持つ第3の道もある

僕は一般雇用(実質クローズ)を選びましたが、それはフルリモートとエンジニアスキルという「配慮が要らない条件」を引けたからにすぎません。同じ条件がない人に同じ道を勧める気はまったくないです。あなたの最優先軸が「続けられること」なら障害者雇用、「伸びしろ」なら一般雇用、「まず立て直す」なら就労移行。それぞれに合った相談先から、小さく一歩を踏み出してみてください。

大事な注記: 本記事は当事者の経験と公的データを組み合わせた一般的な判断材料です。最終的な働き方の選択、手帳取得、治療や配慮の判断は、必ず主治医・産業医・就労支援機関などの専門家と相談して決めてください。


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ご注意

この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。

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この記事を書いた人

りく

  • ADHD当事者
  • 転職5回経験
  • 現役エンジニア
  • フルリモート勤務

社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収1200万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。

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